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AGA・薄毛

AGA治療は何歳から始める?|年齢と進行度の関係を一次資料で整理

出典の確認 最終更新 編集方針PR
公開 2026-09-26約13分で読めます編集責任者: 寺本

本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載順位やレビュー内容は報酬の有無に影響されません。詳細

要点この記事のポイント

「AGA 何歳から」には、発症する年齢・薬を使える年齢・始めると有利な年齢という3つの問いが混ざっています。添付文書、日本皮膚科学会ガイドライン、日本人801名の5年観察研究、41〜60歳の比較試験、プラセボ群5年の経過をもとに、年齢と進行度の関係を表で整理します。

  1. 「AGA 何歳から」には、発症する年齢・薬を使える年齢・始めると有利な年齢という、答えの出どころが違う3つの問いが混ざっている
  2. プロペシア錠の添付文書は「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない」と記載している。ガイドラインによると、国内の臨床試験は20歳以上が対象だった
  3. 日本人801名を5年追った観察研究では、開始時40歳以上と開始時の進行度が、それぞれ独立に効果不十分と関係していた
  4. 41〜60歳(軽症〜中等症・主に頭頂部)だけを対象にした24ヶ月の二重盲検試験でも、6ヶ月目からプラセボとの差が報告されている
  5. フィナステリドを投与されなかったプラセボ群の経過は、5年の解析で、目標範囲の毛髪数が239本(毛髪密度の26.3%)減ったと報告されている。何年で次の段階に進むかを示した数字ではない
  6. よく引かれる「20代約10%・30代20%・40代30%」は、ガイドラインが2004年の意識調査を出典に挙げている数字。原本は入手できず、調査の人数や判定のしかたは確かめられなかった

この記事の判断材料

結論

添付文書が年齢で引いている線は20歳(20歳未満は安全性・有効性が確立されていない)。20歳以上では、年齢(40歳以上か)とは別に、始めた時点の進行度も5年後の評価と関係していた。

エビデンスの強さ

中日本人801名の観察研究(Yoshitake 2015、5年、対照群なし)と、41〜60歳424名の二重盲検RCT(Whiting 2003、24ヶ月)が中心。年齢と進行度のどちらがどれだけ強いかは比べられない。プラセボ群の経過は、試験のプラセボ群を5年追った解析(Kaufman 2008)と、26名を2年追った小規模な研究(Rushton 1991)が毛髪数の減少を示しているが、何年で段階が進むかは示していない。

研究結果

  • 観察研究 / N=801 / 2015 / Yoshitake 2015
  • RCT / N=424 / 2003 / Whiting 2003
  • 臨床試験 / 2008 / Kaufman 2008
  • 診療ガイドライン / 2017 / 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

Re:Men の解釈

年齢と進行度の関係は1件の観察研究で見えた関連で、効果の大きさを年齢別に示すデータではない。「何歳になったら始めるか」を決める材料ではなく、診察で現在の進行度を確かめる前の整理として位置づける。

今日やること

  1. 生え際と頭頂部を、同じ場所・同じ明るさで撮影して残す
  2. 家族の薄毛の有無と、変化に気づいた時期をメモする
  3. 年齢の扱いと現在の進行度を、診察で確認する

この方法を試す前に

  1. 20歳未満は、プロペシア錠の添付文書で安全性及び有効性が確立されていないとされている
  2. 女性と小児には適応がない。妊娠中・妊娠の可能性がある・授乳中の女性は禁忌で、割れたり砕けたりした錠剤も扱わない(添付文書)
  3. うつ病・うつ状態やその既往、自殺念慮・自殺企図の既往がある人は、始める前の診察で医師に伝える(添付文書の注意事項に記載がある)
  4. 飲んでいる間に自殺念慮・自殺企図があらわれたら、服用を中止して速やかに医師に連絡する(添付文書 8.2。相談窓口は冒頭の医療に関する注意のとおり)
  5. 服用中に性機能の変化を感じたら、自己判断で続けたりやめたりせず医師に相談する
AGA治療は何歳から始める?|年齢と進行度の関係を一次資料で整理 のメインビジュアル

動くならいまか、もう少し待つか。鏡を見るたびに迷い、答えを出せないまま年月がたつ人もいます。検索窓に「AGA 何歳から」と打つとき、その一語には性質の違う3つの問いが入っています。何歳から始まるのか、何歳から薬を使えるのか、何歳から始めると有利なのか。答えを出している資料も、その確からしさも、3つでそれぞれ違います。

このページでは、プロペシア錠の添付文書、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)、日本人801名を5年追った観察研究、41〜60歳だけを対象にした比較試験などをもとに、3つの問いを分けて整理します[1][2][5][6]。

医療に関する注意 :AGAの確定診断と治療方針の決定は医師が行います。本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。効果・副作用には個人差があり、効果を保証するものではありません。薬の開始・変更・中止は自己判断せず、必ず医師に相談してください。ただし、フィナステリドを飲んでいて自殺念慮・自殺企図があらわれたときは、服用を中止して速やかに医師に連絡するよう添付文書に書かれています[2]。死にたい気持ちがあるときは、#いのちSOS(0120-061-338、24時間365日)に電話できます[12]。命に危険が迫っているときは、ためらわず119番に電話してください。フィナステリドは女性と小児には適応がなく、妊娠中・妊娠の可能性がある・授乳中の女性は、割れたり砕けたりした錠剤も扱わないよう添付文書に書かれています[2]。

本記事の立場 :医師個人による執筆・監修は行っていません。学会ガイドライン等の公開資料を編集部が整理しています。

「何歳から」を3つの問いに分ける

同じ検索語でも、知りたいことは人によって違います。20代前半の人は「若いうちから飲んでいいのか」、30〜40代の人は「いつ動けばいいのか」、40代後半以降の人は「今からでも意味があるのか」。3つの問いと、それぞれに答えている一次資料を並べると次のとおりです。表の内容は、ガイドライン[1]、プロペシア錠の添付文書[2]、Yoshitake 2015[5]によります。

問い 一次資料で言えること 出典
① 何歳から始まるのか(発症) 日本人男性では20歳代後半から30歳代にかけて著明となり(はっきり目立つようになり)、40歳代以後に完成される、とガイドラインは書いている。年代別の割合は、ガイドラインが2004年の意識調査を出典に挙げている ガイドライン「疾患概念」、板見 2004
② 何歳から薬を使えるのか(適応) 添付文書は「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない」と記載。ガイドラインによると、国内の臨床試験は20歳以上の男性が対象だった プロペシア錠 添付文書、ガイドライン CQ1
③ 何歳から始めると有利なのか(効果) 日本人801名の5年の観察研究で、効果不十分の独立した危険因子として挙がったのは「開始時40歳以上」と「開始時の進行度」の2つ Yoshitake 2015

②は添付文書に明記があり、資料のあいだで食い違いもありません。①は数字の出どころに注意が要ります。③は1件の観察研究が中心で、読み方を誤りやすい論点です。以下、この順に見ていきます。

発症はいつ目立ちはじめるか:ガイドラインの記述と数字の出どころ

ガイドラインは、日本人男性の経過をこう書いています[1]。

日本人男性の場合には20歳代後半から30歳代にかけて著明となり,徐々に進行して40歳代以後に完成される.

AGAで起きているのは、毛が生えて抜けるまでの周期(毛周期)の乱れです。ガイドラインは「毛周期を繰り返す過程で成長期が短くなり,休止期にとどまる毛包が多くなる」と説明しています[1]。1本1本が時間をかけて細く短くなっていくので、ある日まとめて抜けるような分かりやすい変化にはなりにくく、本人も気づきにくいのが特徴です。

年代別の割合は、どの資料から来ているか

エビデンス:限定的年代別の割合は2004年の意識調査が出典。原本の人数・方法は未確認参照: 板見 2004

年代別の数字も、ガイドラインに載っています[1]。

20代で約10%,30代で20%,40代で30%,50代以降で40数%と年齢とともに高くなる

この数字はよく引用されますが、出どころまで書かれることはあまりありません。ガイドラインの引用文献をたどると、次のようになります[1][3][4]。

よく見る数字 出典 資料の性質
全年齢平均で約30%(いわゆる「3人に1人」) 1981年に刊行された報告(Takashima ら、ガイドラインの文献8) ガイドラインは「25年前の本邦における男性型脱毛症の統計」と書いている。原本(書籍の1章)は入手できず、人数・方法は確かめられなかった
20代約10%・30代20%・40代30%・50代以降40数% 板見智「日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査」日本医事新報、2004年(板見 2004、ガイドラインの文献9) 表題は意識調査。原本はオンラインで公開されておらず、調査の人数や、脱毛をどう判定したか(本人の回答か、医師の診察か)は確かめられなかった

ガイドラインは約30%の数字について「この発症頻度は現在もほぼ同程度」とも書いていますが、その根拠になる新しい調査は挙げていません[1]。年代別の割合は桁の感覚をつかむには使えますが、自分がどうなっているかの判断材料には向きません。自分の頭皮で何が起きているかは、鏡と診察で確かめるものです。初期に見られる変化は AGAのセルフチェックで確認するサイン 、AGAそのものの仕組みはAGAの原因と進行パターンの解説 にまとめています。

薬を使える年齢:添付文書が引いている線

3つの問いのうち、一次資料だけで答えが出るのがここです。プロペシア錠(フィナステリド)の添付文書[2]と、ガイドライン[1]の記載を並べます。

資料と項目 記載
添付文書 4. 効能又は効果 「男性における男性型脱毛症の進行遅延」
添付文書 5. 効能又は効果に関連する注意 「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない。」
添付文書 6. 用法及び用量 「男性成人には」から始まる
添付文書 9.7 小児等 「小児等に対する適応はない。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。」
ガイドライン CQ1(フィナステリド) 「海外の臨床試験は18歳以上の男性に対し行われ,安全性が確認されているが,国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたので,わが国では20歳未満に対する安全性は確立していない.」
ガイドライン CQ2(デュタステリド) 20歳以上を対象にした国際臨床試験をもとに、20歳未満に対する安全性は確立していないとしている。加えて「1年を超える長期投与での効果や投与中止後の毛髪量変化については検討されていない」

ガイドラインによれば、18歳以上を対象にしたのは海外の試験で、国内の試験は20歳以上が対象でした。そのため国内では20歳未満の安全性が確立していない、というのが公開資料に書かれている範囲です[1][2]。

もう1点、承認されている効能又は効果は「男性における男性型脱毛症の進行遅延」です[2]。進行を遅らせる薬として承認されている、という位置づけを押さえておくと、次の節のデータも読みやすくなります。20代の薄毛と家族歴の考え方は 20代・30代の若年AGAの整理 、2つの薬の違いは デュタステリドとフィナステリドの比較 を参照してください。

始めた年齢と進行度:日本人801名・5年のデータ

エビデンス:限定的観察研究1件の多変量解析。年齢と進行度が独立に関係、因果は未検証参照: Yoshitake 2015

「早く始めたほうが有利か」に直接答えている大規模なデータは、日本人男性を対象にした5年の観察研究です(Yoshitake 2015)。フィナステリド1mg/日の投与を受けた903名のうち、801名が5年間、写真による評価で追跡されました。服用しなかった人と比べる群はありません[5]。

解析では、5年後の写真評価スコアが6点以上を「十分」、6点未満を「不十分」とし、不十分の側に入ることと関係する因子を多変量解析で調べています。抄録で独立した危険因子として挙がったのは、次の2つです[5]。

独立した危険因子 データの形 P値
治療開始時の年齢が40歳以上 40歳以上かどうかの二択 P = 0.021
治療開始時の進行度(modified Norwood-Hamilton 分類) 段階のある分類 P < 0.001

抄録には、開始時にストレスがあったことは、効果不十分との関連が逆方向だった因子として挙がっています(P = 0.025)[5]。

この表の読み方には注意が要ります。P値の大小は、関係の強さを直接くらべる数字ではありません。しかも年齢は二択、進行度は段階のある分類で、データの形も違います。そのため、2つのうちどちらの影響が大きいかは、この表からは判断できません。読み取れるのは、年齢と進行度がそれぞれ別々に5年後の評価と関係していた、という点までです。

抄録の結びでは、若いうちに、進行が浅いうちに始めたことが、より高い効果の主な予測因子(key predictors)だったとまとめています[5]。ガイドラインはこの研究を CQ1 の解説で引用し、「40歳未満の症例,重症度の低い症例でより高い効果を示した」と記載しています[1]。

具体例に置き換えると、40歳でまだ進行が浅い人と、32歳でかなり進んでいる人がいたとします。年齢だけを見れば前者が不利、進行度だけを見れば後者が不利です。総合でどちらが不利かは、この研究からは言えません。データに沿って問いを立てるなら、「何歳か」と「いまどの段階にいるか」の両方です。年齢は変えられないので、確かめに行けるのは段階のほうです。進行度の分類は ノーウッド分類の解説 で段階ごとに整理しています。

40代以降に始める意味:41〜60歳だけの比較試験

エビデンス:中41〜60歳のRCT1件。軽症〜中等症・主に頭頂部に限られる参照: Whiting 2003

「40歳を過ぎたら遅いのか」を考える材料になるのが、Whiting 2003 です。参加者を41〜60歳に絞り、424名をフィナステリド群とプラセボ群に無作為に分けて、二重盲検で24ヶ月比べたランダム化比較試験(RCT)です。参加条件は軽症〜中等症で、薄毛は主に頭頂部でした[6]。

抄録によると、毛髪の状態を写真で見る全体評価で、フィナステリド群はプラセボ群を6ヶ月目に有意に上回り(p < 0.001)、その差は24ヶ月目まで保たれていました。本人と担当医の評価も同じ向きで、忍容性は概ね良好と報告されています[6]。対象を41歳以上に限った比較試験でこの結果が出ているので、「何歳を過ぎたら意味がない」という線は、少なくともこの試験の範囲(60歳まで)からは引けません。

逆に、この試験の結果をそのまま当てはめられない人もいます。参加者は軽症〜中等症に限られ、評価の中心は頭頂部でした[6]。こめかみから生え際が後退していくタイプや、すでに大きく進んだ状態について、この試験は情報を持っていません。

年齢とは別の論点として、遺伝的背景が同じでも差が出たという小規模な試験もあります(双子の年齢層は抄録に記載がありません)。一卵性双生児9組を対象に、1組のうち1人がフィナステリド1mg/日、もう1人がプラセボを1年間服用した二重盲検試験で、写真による評価と毛髪数の両方で、服用した側がプラセボ側を有意に上回っています(Stough 2002、いずれも p < 0.05)[7]。とはいえ参加者は18人なので、この1件から大きな主張はできません。

様子見の代償は、数字で示せるか

エビデンス:限定的プラセボ群5年の毛髪数の減少と小規模な2年の観察。段階の進む年数は示していない参照: Kaufman 2008、Rushton 1991

「1年様子を見ると、どのくらい後退するのか」。フィナステリドを投与されなかったプラセボ群の経過を毛髪数で数えた解析はあります。

1つは、フィナステリドの試験でプラセボを使い続けた男性を5年間追った解析です(Kaufman 2008)。主に頭頂部が薄くなる型の男性を対象にした同じ設計の試験2件のデータをまとめたもので、プラセボ群では、目標範囲の毛髪数が5年で239本減り(毛髪密度にして26.3%の減少)、写真による全体評価では75%が開始時より「悪化」と判定されました。抄録は、4つの評価方法すべてで5年間脱毛が進んだと書いています[9]。ただし、プラセボ群の人数は抄録に書かれておらず、著者は製薬会社の研究所の所属です。

もう1つは、男性型脱毛症で受診した男性26名を、年齢をそろえた脱毛のない男性13名とくらべて2年間追った研究です(Rushton 1991)。前頭部から頭頂部の毛髪密度は、12ヶ月で6.5%、24ヶ月で11.9%減っていました。対照の13名では、どの指標にも変化がありませんでした[10]。

1年間の第III相試験2件で1,553名を無作為化し、そのうち1,215名が延長試験に進んで最長5年まで追った多国籍試験(Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Group 2002)の抄録も、プラセボ群について「while treatment with placebo led to progressive hair loss」と書いています[8]。

これらは集団の平均の変化で、一人ひとりがどのくらいの速さで進むかの幅や、何年でノーウッド分類の次の段階に進むかは、抄録には書かれていません[9][10]。2026年10月9日に PubMed で「"androgenetic alopecia" AND "natural history"」(6件)と、AGA・男性型脱毛の語に「longitudinal」「natural course」「untreated」などと「progression」を組み合わせた検索(7件)を行いました。同じ人を追って段階の進む年数を示した研究は、この範囲には見当たりませんでした。

ガイドラインの全文には「不可逆」「自然経過」という語はなく、毛が戻らなくなる時点も書かれていません[1]。「ある年齢を過ぎると取り返しがつかない」という類の言い方は、本記事で確かめたガイドラインと研究からは示せません。前の節の観察研究も、始めた時点の年齢や進行度が違う別々の人を比べた関連で、同じ人が待った場合の差を測ったものではありません[5]。

早く始める側が引き受けるもの

判断の材料として、逆側も置いておきます。ガイドラインにはこうあります[1]。

なお,内服を中止すると効果は消失する.

早く始めるということは、その分だけ長く続けるということでもあります。そこには、主に次の2つの負担が乗ります。

副作用の懸念

ガイドラインは、12件のランダム化比較試験・3,927名をまとめたシステマティックレビューを引いて、次のように書いています[1]。

性機能障害については相対危険度が1.39(95%CI, 0.99〜1.95)とフィナステリド投与群がプラセボ群より上昇する傾向があるとしている

95%信頼区間が1をまたいでいるため、「1.39倍になる」とは言えません。ガイドラインの表現どおり「上昇する傾向があるとしている」までです。同じレビューについて、ガイドラインは「脱毛部1cm²あたりの硬毛数は投与6カ月後(p<0.001),投与24カ月後(p<0.001)のいずれの時点でもフィナステリド投与群がプラセボ群より有意に増加していた」とも書いています[1]。懸念と効果の両方が、同じ資料に載っています。服用中の性機能の変化については フィナステリドの効果と副作用の整理 を参照してください。

費用

続けることが前提になるなら、費用は月額よりも「何年分か」で見たほうが実態に近くなります。治療法ごとの費用の目安は AGA治療の費用相場にまとめています。

海外製(国内未承認)の薬を扱う医療機関もあります。その場合は、厚生労働省の医療広告等ガイドラインが、医療機関に明示を求めている項目に沿って、①国内未承認の医薬品であること、②入手経路(医師等が個人輸入したものかどうか)、③国内に承認薬があり、国内製を選べるかどうか、④諸外国における安全性等に関する情報、⑤健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象外であること、の5点を確認してください[11]。個人輸入は、成分量や品質を自分で確かめにくく、健康被害が起きても救済制度の対象外です[11](AGA薬の個人輸入のリスク)。

年代別に、一次資料で言えること

ここまでの事実を、年代ごとに当てはめます。新しい主張は足していません。表の内容は、添付文書[2]、ガイドライン[1]、Yoshitake 2015[5]、Whiting 2003[6]によります。

年代 一次資料で言えること 判断の軸
20代前半まで 20歳未満については、安全性及び有効性が確立されていないと添付文書に記載がある。国内で行われた臨床試験の対象は20歳以上だった 20歳以上なら、801名の研究で年齢の区切りになった40歳より手前。20代と30代の差はこの研究の抄録からは分からないので、確かめられるのは現在の進行度
30〜40代前半 801名の観察研究では、開始時40歳以上と開始時の進行度が、それぞれ独立に効果不十分と関係していた 年齢の区切り(40歳)をまたぐ層。801名の研究では、40歳以上であることと進行度が、それぞれ別に関係していた。両方を見る。いまの状態を写真で残すと後で比べられる
40代後半以降 801名の観察研究では、開始時40歳以上が効果不十分の側と関係していた。一方、41〜60歳・軽症〜中等症・主に頭頂部の二重盲検試験では、6ヶ月目からプラセボとの差が報告されている 40歳以上は効果不十分の側に入りやすかったが、41〜60歳の試験ではプラセボとの差が出ており、年齢だけで線を引く根拠は弱い。生え際や進んだ状態はこの試験の対象外で、開始時の進行度も結果と関係していた

いまの進行度は、自分では決めにくい

ガイドラインの診断の項は、こう書いています[1]。

男性型脱毛症の診断は問診により家族歴,脱毛の経過などを聴き,視診により額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっていることを確認する.

分類は、日本ではNorwoodの分類に高島分類の頭頂部が薄くなるⅡvertexを加えたものが広く使われている、とガイドラインは書いています[1]。年代別の表を自分に当てはめるには「いまどの段階か」が必要ですが、それは鏡と記憶だけでは決まりません。年齢の扱いも同じで、実際に何歳から診てもらえるかは医療機関ごとの運用によります。

年齢のことも、いまの進行度も、診察で確かめるのが近道です。オンライン診療を含む医療機関の違いは AGAクリニックの比較ページ で並べています。治療を始めたあとの経過と判定の時期は AGA治療の経過の目安 、飲み始めてすぐ抜け毛が増えた場合は AGA初期脱毛の解説を参照してください。

よくある質問

Q1. 18歳・19歳でも処方を受けられますか?

プロペシア錠の添付文書は「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない」と記載しており、用法も「男性成人には」から始まります[2]。ガイドラインによれば、海外の臨床試験は18歳以上が対象でしたが、国内の臨床試験は20歳以上が対象で、国内では20歳未満の安全性は確立していません[1]。実際の対応は医療機関ごとの運用なので、受診先で確認してください。

Q2. 40代・50代から始めても意味はありますか?

41〜60歳の男性424名を対象にした24ヶ月の二重盲検試験(Whiting 2003)では、写真による全体評価で、6ヶ月目からプラセボ群との有意な差が出て、24ヶ月まで続いたと報告されています。ただし対象は軽症から中等症で、主に頭頂部です[6]。生え際の後退や進んだ状態については、この試験は答えていません。

Q3. まだ目立たないうちに始めたほうがいいですか?

日本人801名の観察研究では、開始時の進行度が5年後の評価と独立に関係していました。ただし、始めた時点が違う別々の人を比べた結果で、同じ人が待った場合を比べたものではありません[5]。一方でガイドラインは「内服を中止すると効果は消失する」と書いており、早く始めることは長く続けることでもあります[1]。副作用の懸念と費用も含めて、医師と相談して決める論点です。

Q4. 何もしないと、何年でどのくらい進みますか?

フィナステリドの試験でプラセボを5年使った男性(主に頭頂部が薄くなる型)では、目標範囲の毛髪数が239本(毛髪密度の26.3%)減り、写真評価で75%が「悪化」と判定されたという解析があります(Kaufman 2008)[9]。受診した男性26名を2年追った小規模な研究では、前頭部から頭頂部の毛髪密度が2年で11.9%減っていました(Rushton 1991)[10]。どちらも集団の平均で、何年で次の段階に進むかという数字ではありません。

まとめ

  • 「何歳から」は3つの問い。始まる年齢・使える年齢・始めて有利な年齢は、別々の資料が答えている[1][2][5]
  • 「20代約10%・30代20%・40代30%」は、ガイドラインが2004年の意識調査を出典に挙げている数字。原本の人数や判定のしかたは確かめられなかった[1][3]
  • 添付文書は「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない」と明記している[2]
  • 抄録で効果不十分の独立した危険因子として挙がったのは、開始時40歳以上(P = 0.021)と開始時の進行度(P < 0.001)の2つ。P値の大小でどちらが強いかは比べられない[5]
  • 参加者を41〜60歳に絞った24ヶ月の二重盲検試験でも、プラセボとの差は6ヶ月目に現れ、24ヶ月目まで保たれた。対象は軽症〜中等症・主に頭頂部[6]
  • フィナステリドを投与されなかったプラセボ群では、5年で毛髪数が26.3%減ったという解析がある。何年で段階が進むかは示されていない[9]
  • 早く始めるとは長く続けること。やめれば効果は消失するとガイドラインは書いている[1]

年齢は変えられませんが、いまどの段階にいるかは、診察で確かめることができます。医療機関ごとの違いは AGAクリニックの比較ページで確認できます。

改訂履歴

2026年10月9日:本文の数字と記述を、参考文献と番号で1対1に結びました。ガイドライン(2017年版の原本PDF)、プロペシア錠の添付文書、論文の抄録、厚生労働省の資料を同じ日に取り直して照合しています。「様子見の代償」の節とよくある質問Q4で「無治療のAGAの自然経過を定量した研究は、文献検索の範囲では見当たりません」と書いていましたが、PubMed を検索し直したところ、試験のプラセボ群を5年追って毛髪数の減少(239本、毛髪密度の26.3%)を示した解析(Kaufman 2008)と、26名を2年追った研究(Rushton 1991)がありました。この2件を加えて書き直し、段階の進む年数を示した研究は見当たらないことを、検索した範囲とともに書きました。年代別の割合の出典(板見 2004)は、原本を入手できず調査の人数や判定のしかたを確かめられなかったため、「医師が診断して数えた有病率とは性質が違う」という書き方を、確かめられなかったことをそのまま書く形に改めました。出典を確認できなかった「20代6%・30代12%・40代32%・50代44%」の行と、「医療機関の中には「18歳から処方できる」と案内しているところもあります」の一文は削除しました。ガイドラインのリンクを現在のURLに替え、判断ブロックと冒頭の注意に、添付文書8.2(自殺念慮・自殺企図があらわれたら服用を中止して医師に連絡する)と相談窓口を加えました。参考文献には、研究の種類・人数・限界を1行ずつ添えました。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777(疾患概念・年代別発症頻度と引用文献8・9/診断と分類/CQ1解説=801名の研究・相対危険度1.39・硬毛数・18歳と20歳・中止で効果消失/CQ2解説=20歳未満・1年超は未検討). 日本皮膚科学会のサイトに掲載のPDF(2026年10月9日確認) (診療ガイドライン2017年版。2016年12月までに検索できた文献をもとにしていて、それ以降の研究は反映されていない。推奨度には、委員会の合意で決めた項目があると書かれている)
  2. プロペシア錠0.2mg/1mg 添付文書(オルガノン、2023年8月改訂 第4版。2. 禁忌/4. 効能又は効果/5. 効能又は効果に関連する注意/6. 用法及び用量/8. 重要な基本的注意/9.1.1 うつ病等の患者/9.7 小児等). PMDA 医療用医薬品の添付文書情報(2026年10月9日確認) (医療用医薬品の添付文書。国内の承認の根拠になった試験は、24〜50歳で頭頂部が薄くなる型〔Ⅱvertex・Ⅲvertex・Ⅳ・Ⅴ〕の男性414例、48週)
  3. 板見 2004: 板見智「日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査」日本医事新報. 2004;(4209):27-29(ガイドラインの文献9=年代別の数字の出典). CiNii Research の書誌(2026年10月9日確認) (表題は意識調査。原本はオンラインで公開されておらず、本文・人数・調査の方法は確認していない。書誌は CiNii と国立国会図書館の記録で確認)
  4. Takashima I, Iju M, Sudo M. Alopecia androgenetica. Its incidence in Japanese and associated condition. In: Orfanos CE, Montagna W, Stuttgen G, eds. Hair Research. Berlin: Springer Verlag; 1981. p.287-293(ガイドラインの文献8=全年齢平均約30%の出典) (書籍の1章。原本は入手できず、人数・方法は確認していない。書誌はガイドラインの文献欄による)
  5. Yoshitake 2015: Yoshitake T, Takeda A, Ohki K, et al. Five-year efficacy of finasteride in 801 Japanese men with androgenetic alopecia. J Dermatol. 2015;42(7):735-738. PubMed: 25903108 (観察研究、日本人男性。治療を始めた903名のうち5年間評価できた801名の集計で、対照群はない。著者の所属に東京の医療機関を含む。抄録のみ確認)
  6. Whiting 2003: Whiting DA, Olsen EA, Savin R, et al. Efficacy and tolerability of finasteride 1 mg in men aged 41 to 60 years with male pattern hair loss. Eur J Dermatol. 2003;13(2):150-160. PubMed: 12695131 (RCT、二重盲検・多施設、41〜60歳の男性424名、24ヶ月。軽症〜中等症・主に頭頂部が薄くなる型に限られる。実施国は抄録に書かれていない。抄録のみ確認)
  7. Stough 2002: Stough DB, Rao NA, Kaufman KD, Mitchell C. Finasteride improves male pattern hair loss in a randomized study in identical twins. Eur J Dermatol. 2002;12(1):32-37. PubMed: 11809593 (RCT、二重盲検・単施設、一卵性双生児9組〔18名〕、1年。人数が少なく、双子の年齢は抄録に書かれていない。抄録のみ確認)
  8. Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Group. Long-term (5-year) multinational experience with finasteride 1 mg in the treatment of men with androgenetic alopecia. Eur J Dermatol. 2002;12(1):38-49. PubMed: 11809594 (1年のRCT 2件で1,553名を無作為化し、1,215名が最長4年の延長試験に進んだ。プラセボ群の経過は抄録では「進行した」という記述だけ。抄録のみ確認)
  9. Kaufman 2008: Kaufman KD, Girman CJ, Round EM, et al. Progression of hair loss in men with androgenetic alopecia (male pattern hair loss): long-term (5-year) controlled observational data in placebo-treated patients. Eur J Dermatol. 2008;18(4):407-411. PubMed: 18573713 (同じ設計のRCT 2件のプラセボ群を5年間まとめた解析。主に頭頂部が薄くなる型の男性で、プラセボ群の人数は抄録に書かれていない。プラセボを使っていた人で、何も使わなかった人ではない。筆頭著者の所属は製薬会社の研究所。抄録のみ確認)
  10. Rushton 1991: Rushton DH, Ramsay ID, Norris MJ, Gilkes JJ. Natural progression of male pattern baldness in young men. Clin Exp Dermatol. 1991;16(3):188-192. PubMed: 1934570 (観察研究、英国で受診した男性型脱毛症の男性26名と、年齢をそろえた対照13名を2年間。人数が少ない。抄録のみ確認)
  11. 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正、第3-3(未承認医薬品等を自由診療で使用する場合の限定解除要件 (ⅰ)〜(ⅴ)). 厚生労働省のPDF(2026年10月9日確認) (公的機関の指針。改正されることがある)
  12. 厚生労働省「まもろうよ こころ」電話相談窓口. 厚生労働省のページ(2026年10月9日確認) (公的機関の案内ページ。窓口の番号や受付時間は変わることがある)

免責事項 :本記事は日本皮膚科学会のガイドライン、医薬品の添付文書、査読論文、公的機関の公開資料をもとにした一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。医師個人による執筆・監修は行っていません。学会ガイドライン等の公開資料を編集部が整理しています。効果・副作用には個人差があり、効果を保証するものではありません。薬の開始・変更・中止は自己判断せず、必ず医師の診察のもとで判断してください。記載内容は2026年10月時点の公開資料に基づきます。

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