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AGA・薄毛

AGAの検査はどこで何をする?|皮膚科・オンライン・検査キットの違いを比較

出典の確認 最終更新 編集方針PR
公開 2026-09-26約14分で読めます編集責任者: 寺本

本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載順位やレビュー内容は報酬の有無に影響されません。詳細

要点この記事のポイント

AGAの検査には、医師の問診と視診、拡大鏡・ダーモスコピー、血液検査、遺伝子検査キット、毛髪のホルモンを測るキットの5種類があります。AGAかどうかを判断するのはどれか、皮膚科・AGAクリニック・オンライン診療で何ができるかを、学会ガイドラインと添付文書、厚労省の資料をもとに表で整理します。

  1. AGAかどうかを判断するのは、医師の問診と視診。拡大鏡・ダーモスコピーはその手助けという位置づけ(日本皮膚科学会ガイドライン2017年版)
  2. 血液検査は、AGAかどうかを決める検査ではない。円形脱毛症の合併症や休止期脱毛の原因など、AGA以外の脱毛を探す場面で使われる。薬を始める前に採血をする医療機関もあり、その場合は何を調べるかを確かめる
  3. 遺伝子検査キットの説明に出てくるAR遺伝子のCAG・GGCの繰り返し配列は、8研究のメタ解析(Zhuo 2012)でAGAのなりやすさとの関連が見られなかった
  4. AGAの内服薬を飲んでいると、健診のPSA(前立腺がんの目印)の値が下がる。検査を受けるときは服用を伝える
  5. 急に抜けた、丸く抜けた、かゆみや赤みがあるなら、まず近くの皮膚科へ。ゆっくり薄くなってきたなら、皮膚科・AGAクリニック・オンライン診療のどれでも相談できる

この記事の判断材料

結論

検査を受けたいなら、まず医師の問診と視診。血液検査は医師が必要と判断したときに加わり、自宅キットの結果は受診の代わりにしない。

エビデンスの強さ

中診断の手順は男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版の記述。キットの説明に出てくるCAG・GGCの繰り返しは、8研究のメタ解析(Zhuo 2012)でなりやすさとの関連が見られず、英国の男性5万人超の遺伝子の目印を使った予測(Hagenaars 2017)でも特異度は0.53〜0.69だった。薬への反応の予測は、2ページの学会報告(Wakisaka 2005)と25人の研究(Ghassemi 2019)で結果が揃っていない。PSAの低下は無作為化比較試験(D'Amico 2007)と添付文書で確かめられている。

研究結果

  • ガイドライン / 2017 / 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
  • メタ解析 / N=3,189 / 2012 / Zhuo 2012
  • 研究 / N=52,874 / 2017 / Hagenaars 2017
  • RCT / N=355 / 2007 / D'Amico 2007

Re:Men の解釈

キットの説明に出てくるCAG・GGCは、メタ解析でなりやすさとの関連が見られていない。数百の遺伝子の目印を使った研究用の予測でも、薄毛のない人を正しく「なし」とできたのは53〜69%だった。キットの結果は受診の代わりにせず、気になる変化があれば先に問診と視診を受け、血液検査はAGA以外の脱毛が疑われたときに医師が加える、という順番で考える。

今日やること

  1. 家族に薄毛の人がいるか、いつから変わってきたかをメモしておく(問診で聞かれる)
  2. AGAの内服薬を飲んでいるなら、健診や人間ドックの問診票に書く

この方法を試す前に

  1. 急に抜けた、丸く抜けた、かゆみや赤みがある場合は、まず近くの皮膚科を受診する
  2. AGAの内服薬を服用中にPSA検査を受けるときは、服用を検査の医師に伝える
AGAの検査はどこで何をする?|皮膚科・オンライン・検査キットの違いを比較 のメインビジュアル

「AGAの検査を受けてみたいが、どこで何をされるのか見当がつかない」。調べ始めると、血液検査、遺伝子検査、マイクロスコープと、性格の違うものが同じ「検査」という言葉で並んでいます。

このページでは、「AGAの検査」と呼ばれているものを5種類に分けます。それぞれ何を見ていて、AGAかどうかの判断にどう関わるのかを、日本皮膚科学会の診療ガイドライン、薬の添付文書、厚生労働省の資料、査読論文で確かめます。自分で鏡を見て確かめる方法は AGAのセルフチェック方法 にまとめています。

「AGAの検査」5種類の比較

まず5種類を横に並べます。「AGAかどうかの判断」の列が、このページで最も伝えたいところです。各行の根拠は、表の下の節で番号を付けて示します(診断の手順はガイドライン[1]、遺伝子検査キットの位置づけは厚生労働省のタスクフォース資料[15]、毛髪DHTキットは販売元のページ[20]、血液検査の費用の例は医療機関の料金ページ[22])。

検査 何を見るか どこで受けるか AGAかどうかの判断での位置づけ 費用の扱い
医師の問診と視診 家族歴、脱毛の経過、生え際の後退、前頭部と頭頂部の毛が細く短くなっているか 皮膚科・AGAクリニック・オンライン診療 判断の中心(学会ガイドラインの「診断」の項) 診察そのものが保険になるかは、この記事で確かめた公的資料に書かれていない。受診前に医療機関へ確認
拡大鏡・ダーモスコピー 毛の太さのばらつきなど、頭皮と毛の拡大像 対面の医療機関(画面越しには行えない) 診断の手助け 医療機関に確認
血液検査 甲状腺の病気など、脱毛の背景にある別の病気の手がかり。薬を始める前後の体調の確認に行う医療機関もある 対面の医療機関 ガイドラインの「診断」の項には挙がっていない。主な出番は、AGA以外の脱毛を疑うとき 医療機関によって違う(0円・3,800円の例。下の節)
遺伝子検査(キット) 男性ホルモン受容体(AR)遺伝子のCAG・GGCの繰り返し配列(確かめた説明の例) 自宅で検体を採って送る型が中心。AGAクリニックで扱う場合もある 自宅で採って送る型は「医療分野の検査とは異なる」サービス(厚労省タスクフォース資料)。どこで受けても、測る配列の根拠は下の節のとおり 購入先・医療機関に確認
毛髪のホルモン(DHT)を測るキット 毛髪に含まれるDHT 自宅で検体を採って送る 確認した販売元は「診断に代わるものではございません」と明記 販売元から購入する(医療機関の診療とは別)

表の上2行は「AGAかどうか」を見るためのもの、下3行はそれぞれ別の目的のためのものです。以下、上から順に根拠を見ていきます。

医師はどうやってAGAと判断するのか

診断の手順を定めているのは、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)です。該当の一文を引きます[1]。

男性型脱毛症の診断は問診により家族歴,脱毛の経過などを聴き,視診により額の生え際が後退し前頭部と頭頂部の毛髪が細く短くなっていることを確認する.拡大鏡やダーモスコピーの使用も診断の手助けとなる.

分解すると、診察で行われるのは次の3つです[1]。

  • 問診:家族に薄毛の人がいるか。いつから、どのくらいの速さで変わってきたか
  • 視診:生え際が後退しているか。前頭部と頭頂部の毛が細く短くなっているか
  • 拡大して見る:拡大鏡やダーモスコピーは「診断の手助け」という位置づけ

ガイドラインには14の臨床上の疑問(CQ)が並んでいますが、14本すべてが治療についての項目です。遺伝子検査や血液検査は、診断の項に挙がっていません。2026年10月9日にガイドラインのPDFの全文を「血液」「採血」で検索しても、該当する語はありませんでした[1]。

どこまで進んでいるかの物差しには、日本ではNorwood分類に高島分類のⅡvertex(頭頂部が薄くなる型)を足したものが広く使われています[1]。各段階の特徴は ノーウッド分類の段階別ガイド で1段階ずつ確認できます。

拡大観察で見られる所見

エビデンス:中系統的レビューはあるが男女混合の集計。男性だけの特異度は出ていない参照: Kuczara 2024

拡大したときによく挙がるのは「毛の太さのばらつき」です。細く短くなった毛が、太い毛の間に混じって見えます[7][8]。

  • 34論文(AGAの人は男性1,295人・女性1,565人の計2,860人)の系統的レビュー(Kuczara 2024)では、毛の太さのばらつきを調べた27論文の平均で、AGAの人の94%に見られました。論文ごとに48%から全員までと幅があり、男女をあわせた数字です[7]
  • 日本の研究チームがアジア人の男性50人を調べた研究(Inui 2009)では、全員に見られました。健康な人との比較はない研究です[8]

このレビュー(Kuczara 2024)によると、男性は多くの場合、問診と診察だけで診断がつきうるとされ、ダーモスコピーで補うべきとされたのは女性の側です。男性にとって拡大観察は補助の道具です[7]。

AGA以外の脱毛と見分ける理由

最初に「AGAかどうか」を見分けるのには、薬の側の理由があります。国内で承認されているAGAの内服薬2種(一般名フィナステリド・デュタステリド)の先発品の添付文書には、どちらも次の一文があります[2][3]。

男性における男性型脱毛症のみの適応である。他の脱毛症に対する適応はない。

見分ける相手になる主な脱毛を、特徴と出典つきで並べます。

脱毛の種類 特徴 出典
AGA(男性型脱毛症) 生え際や頭頂部から、パターン化して薄くなる 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版[1]
円形脱毛症 典型は境界のはっきりした円形から類円形の脱毛斑。ただし頭全体に広く抜ける型もある 円形脱毛症診療ガイドライン2024[6]
休止期脱毛 何かのきっかけから3〜4か月ほど後に、頭全体から抜ける Malkud 2015(叙述的レビュー)[9]
内科の病気に伴う脱毛 「内科的な病気(甲状腺疾患、膠原病など)」でも脱毛症となりうる 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q4[5]

ガイドラインはAGAの特徴を「休止期脱毛と異なり,パターン化した脱毛が特徴」としています[1]。頭全体から一度に抜ける、丸く抜けるといった経過は、AGAの典型とは違う形です。

血液検査が使われる場面

エビデンス:限定的学会ガイドラインの記述と叙述的レビューのみ。検査の有用性を比べた研究は引いていない

血液検査が意味を持つのは、主にこの「AGA以外」を疑う場面です。

  • 円形脱毛症は、橋本病などの甲状腺疾患や、ほかの自己免疫疾患を合併することがあります。円形脱毛症診療ガイドライン2024は、その確認のために「必要に応じて血液検査などを行ってもよい」としています[6]
  • 休止期脱毛の原因を探すには、問診と適切な検査で、内分泌・栄養・自己免疫の病気を除く必要があるとされています(Malkud 2015)[9]

本記事で確かめたガイドラインでは、AGAの診断の手順に血液検査は挙がっていません[1]。ほかの脱毛が疑われる場合に、必要に応じて検査が行われます[6][9]。

2026年10月9日に、ガイドラインのPDFと、プロペシア錠・ザガーロカプセルの添付文書を「採血」「血液検査」で検索したところ、AGAの薬を始める前に採血を求める記載はありませんでした[1][2][3]。一方で、薬を始める前に採血をする医療機関はあります。同じ日に確かめた料金ページでは、ゴリラクリニックが「当院でフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの処方が初めての方は血液検査が必要」とし、血液検査代を3,800円(3か月トライアルの契約では無料。この注記には税込かどうかの表示がない)としていました。AGAスキンクリニックは血液検査を0円とし、「特定のお薬処方の際、服薬前と服薬後の体調変化を調べるもの」と書いています[22]。医療機関で採血をすすめられたときは、何を調べるための検査か、費用はいくらかを確認してください。

遺伝子検査キットと毛髪ホルモンキットの位置づけ

確かめた遺伝子検査の説明(キットの販売ページ1件と、AGAクリニックのページ1件)は、どちらも男性ホルモンを受け取る受容体(AR)の遺伝子の中で、CAG・GGCという3文字の並びの繰り返しを調べると書いています[21]。自宅で検体を採って送る型が中心ですが、医療機関で同じ種類の検査を扱うところもあります。キットについてよく見る説明・期待と、研究や公的資料で分かっていることを並べると次のようになります(根拠は下の節の番号のとおり)。

キットについてよく見る説明・期待 研究・公的資料で分かっていること
AGAの「なりやすさ」を示す CAG・GGCの繰り返しとなりやすさに、メタ解析で関連は見られなかった[10]。数百の遺伝子の目印を組み合わせた研究用の予測でも、薄毛のない人を正しく「なし」とできた割合(特異度)は0.53〜0.69[11]
薬への反応を予測できる 研究としては2005年の2ページの学会報告がある。別の小規模研究とは結果が揃っていない[12][13]
結果を受診の代わりにできる? 厚労省タスクフォースの資料は、自宅で採って送る型の遺伝子検査を「医療分野の検査とは異なり」と整理している[15]。確認した毛髪DHTキットの販売元も、診断の代わりではないと明記している[20]

なりやすさとの関連

エビデンス:中メタ解析は8研究。大規模な予測研究でも見分ける力は限られる参照: Zhuo 2012、Hagenaars 2017

AR遺伝子の多型とAGAの関係は多くの研究で調べられてきましたが、結果は一致していませんでした。条件に合う研究を集めたメタ解析(Zhuo 2012)に入ったのは8研究、AGAの人2,074人と健康な人1,115人です。この解析で、キットの説明に出てくるCAG・GGCの繰り返しには、なりやすさとの関連が見られませんでした。関連が出たのはStuIと呼ばれる別の多型で、その関連は特に白人集団で見られています[10]。

Hagenaars 2017は、英国の40〜69歳の白人男性52,874人を解析し、薄毛に関わる遺伝子の領域を250以上見つけました。そのうち4万人のデータから研究用の予測式を作り、残りの約1万2千人で当てはまりを試しています。薄毛の程度は本人の自己申告です。薄毛のない人を正しく「なし」と判定できた割合(特異度)は、「重い薄毛」との区別で0.69、「軽い薄毛」との区別では0.53にとどまりました[11]。キットが測る数か所の配列より、はるかに多くの遺伝子の目印を使った予測でも、この水準です。

薬への反応の予測

エビデンス:限定的学会報告と小規模研究のみで、結果の方向が揃っていない参照: Wakisaka 2005、Ghassemi 2019

確かめたキットの販売ページには、この遺伝子検査でフィナステリドが「効きやすいかどうかを調べることが出来ます」と書かれていました[21]。この考え方に対応する研究としては、2005年の学会報告(Wakisaka 2005、2ページ)があります。対象は18〜62歳の488人で、繰り返しが短い群のほうが反応がよく、両者に「大まかな相関」があったと報告されています。読むときの注意点は2つあります。抄録には効果の大きさが示されていないこと、そして繰り返しが短い群は開始時の症状が重い傾向があったと著者自身が書いていることです[12]。

イランの男性のAGAの患者25人と、AGAのない25人を調べた研究(Ghassemi 2019)では、CAGは治療への反応と関連せず、GGCは関連していました[13]。

2026年のレビュー(Torres de Souza 2026)は、遺伝子の情報で治療を選ぶ考え方をまとめたものです。著者には遺伝子検査を手がける企業の社員が含まれますが、そのレビュー自身が、この枠組みを「検証された臨床判断モデルではない」と述べています[14]。

公的な位置づけ

厚生労働省のタスクフォースの配布資料(2016年)は、消費者が自ら検体を採り、結果が直接返される型の遺伝子検査を、次のように整理しています[15]。

疾病の診断や治療・投薬の方針決定を目的とした医療分野の検査とは異なり、利用者に気付きを与え、利用者自らの行動変容を促すサービス。

体質を調べる遺伝子検査について、日本人類遺伝学会は、多くは発症のリスクの「その確率を示しているにすぎない」との見解を出しています[16]。毛髪のDHTを測るキットでは、確認した販売元のページに「診断に代わるものではございません」と明記されています[20]。病名や原因を判断して本人に伝える行為(診断)は、厚生労働省のオンライン診療の指針で医行為とされています[17]。

AGAの原因(DHTと遺伝)の概要は AGAとは?の「遺伝要因」の項 にあります。

治療中の人が受ける検査:PSA

エビデンス:強添付文書と無作為化比較試験で、値が下がる方向は一致参照: D'Amico 2007、プロペシア錠0.2mg/1mg 添付文書

健診の血液検査にも、AGAの薬の影響を受ける項目があります。前立腺がんを見つける手がかりに使われるPSA(前立腺特異抗原)です。どの集団で、どれだけ下がったかは、資料ごとに次のように書かれています(各行の出典は右の列の番号)。

薬 対象と条件 PSAの変化 出典
フィナステリド(プロペシア) 国内の24〜50歳のAGA患者 約40%低下 プロペシア添付文書[2]
フィナステリド1mg 40〜49歳の男性AGA(無作為化比較試験・48週) 約40%低下(中央値) D'Amico 2007(全体で355人)[4]
フィナステリド1mg 50〜60歳の男性AGA(同上) 約50%低下(中央値) D'Amico 2007[4]
デュタステリド(ザガーロ) 前立腺肥大症の患者に0.5mg/日・6ヵ月 約50%低下。AGAの人でも下がると推測されている ザガーロ添付文書[3]

一般向けには、日本皮膚科学会のQ&Aが「約半分に低下」と説明しています[5]。添付文書とガイドラインが求めているのは、服用中に測った値を2倍して評価することです(デュタステリドは6か月以上飲んでいる場合)[1][2][3]。

PSA検査のときに服用を検査の医師へ伝えるよう患者を指導することは、ザガーロの添付文書に書かれています[3]。健診や人間ドックの問診票に、飲んでいる薬の名前を書いておくと伝え漏れを防げます。薬そのものの副作用については フィナステリドの効果と副作用 、2つの薬の違いは デュタステリドとフィナステリドの比較 にまとめています。

受診先の選び方:皮膚科・AGAクリニック・オンライン診療

保険について公的資料で確認できること

  • AGAの内服薬は、添付文書上「保険給付の対象とならない」[2][3]
  • 日本皮膚科学会の一般向けQ&Aは「有効な治療法の多くは保険診療で受けることができません」と書く[5]
  • 円形脱毛症には、保険診療で認められた治療がある(円形脱毛症診療ガイドライン2024)[6]
  • 保険の診療と保険外の診療を一連の治療で併用すると、例外の制度に当たらない限り、保険の部分も含めて全額が自己負担になる(いわゆる混合診療の原則)[18]

皮膚科で脱毛の原因を診てもらう診察そのものが保険になるかは、この記事で確かめた公的資料(上の4点の資料)には書かれていません。受診前に医療機関へ確認してください。治療を始めた後の費用の全体像は AGA治療の費用相場 で整理しています。

受診先ごとの違い

オンライン診療で触診ができないことは、厚生労働省の指針に書かれています[17]。拡大観察と採血は対面で行うものです。

受診先 向いている状況 その場でできること 画面越しにはできないこと
皮膚科(対面) 急に抜けた、丸く抜けた、かゆみや赤みがある。ゆっくり薄くなってきた場合も相談できる 問診・視診。拡大観察や採血を行うかは医療機関に確認 —
AGAクリニック(対面) 生え際や頭頂部が何年かかけてゆっくり薄くなってきた 問診・視診。拡大観察や採血を行うかは医療機関に確認 —
オンライン診療(ビデオ通話) 生え際や頭頂部がゆっくり薄くなってきて、まずAGAかどうかを医師に聞きたい 映像と音声での問診・視診 触診、拡大鏡での観察、採血

急に抜けた、丸く抜けた、かゆみや赤みがある場合は、円形脱毛症や皮膚の病気を見分ける必要があるため、まず近くの皮膚科が先です[5][6]。生え際や頭頂部がゆっくり薄くなってきた場合は、AGAかどうかを医師に聞く段階です。対面が必要かどうかは医師が判断します。

オンライン診療の範囲

医療法でいうオンライン診療は、映像と音声を使い、医師と患者が互いの様子を見ながら行う診療です[17]。AGAかどうかの判断は問診と視診が軸なので[1]、オンライン診療でも映像と音声による問診・視診は行われえますが、AGAで対面の診察や検査が必要かどうかは、その都度医師が判断します。一方で、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は限界も挙げています[17]。

  • 得られる情報は視覚と聴覚に限られ、触診等ができない
  • 「文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない」
  • オンライン診療と対面診療・検査の組み合わせを、診療計画に含める

指針上、オンライン診療は写真を送るだけのやりとりで完結させてはいけないことになっています[17]。拡大観察や採血が必要と判断された場合は、対面の受診と組み合わせることになります。

カウンセリングの場で契約を急がない

国民生活センターが2023年に公表した美容医療トラブルの事例には、AGA治療のクリニックで「今やらなければ間に合わない」と言われ、約190万円のモニター契約を結んだという相談があります。同センターの助言は、不安をあおられたりモニター契約を勧められたりしても、その場で契約・施術をしないことです[19]。診察を受けることと、治療の契約を結ぶことは分けて考えてください。

医療機関を比べるときの軸と、主なクリニックの料金・診療形式は AGAクリニックの比較(AGA・薄毛カテゴリ) にまとめています。

よくある質問

Q1. 薬をもらわずに、AGAかどうかの判断だけ受けられますか?

AGAかどうかの判断は問診と視診が中心なので[1]、診察の段階で医師の判断を受けられます。薬を受け取らずに診察だけで終えられるかどうか、そのときに費用がかかるかどうかは、予約時に医療機関へ確認してください。

Q2. 遺伝子検査キットで「リスクが高い」と出ました。AGAなのでしょうか?

キットの結果は医師の診断ではありません[15]。日本人類遺伝学会の見解では、体質を調べる遺伝子検査の多くが示すのは発症の「確率」にとどまります[16]。また、キットの説明に出てくるCAG・GGCの繰り返しは、メタ解析でなりやすさとの関連が見られませんでした[10]。生え際や頭頂部の変化が気になるなら、AGAかどうかの判断は医師の問診と視診で受けます。

Q3. AGAの診断に血液検査は必要ですか?

ガイドラインの診断の項に、血液検査は挙がっていません[1]。血液検査は、円形脱毛症に合併する甲状腺の病気や、休止期脱毛の原因など、AGA以外の脱毛を疑うときに医師が必要に応じて行うものです[6][9]。薬を始める前後の体調の確認に採血をする医療機関もあります[22]。

Q4. AGAの薬を飲んでいます。健診でPSA検査を受けるときの注意は?

フィナステリドやデュタステリドでPSAの値が下がるため、服用中の値は2倍を目安に評価されます(デュタステリドは6か月以上服用している場合)。ザガーロの添付文書は、検査の医師に服用を知らせるよう求めています[2][3]。問診票などで、飲んでいる薬の名前を伝えてください。

まとめ

  • 「AGAの検査」は5種類。AGAかどうかを判断するのは医師の問診と視診[1]
  • 遺伝子検査・血液検査は、ガイドラインの診断の項に挙がっていない[1]
  • 血液検査はAGAかどうかを決める検査ではない。出番は「AGA以外」を疑うときと、治療中に受けるPSA検査。薬を始める前に採血をする医療機関もある[6][9][22]
  • CAG・GGC(遺伝子検査キットの説明に出てくる配列)は、8研究のメタ解析でなりやすさとの関連なし[10]
  • 治療中にPSA検査を受けるときは、服用を検査の医師に伝える[2][3][4]
  • オンライン診療では映像と音声による問診・視診が行われうるが、触診・拡大観察・採血はできない。対面が必要かは医師が判断する[17]

AGAと判断された後の治療の選択肢は AGA治療の種類と選び方 、受診先の比較は AGAクリニックの比較(AGA・薄毛カテゴリ) へ。

改訂履歴

2026年10月9日:本文の数字と記述を参考文献の番号で結び、参考文献に研究の種類・人数・限界と確認日を添えました。ガイドライン・添付文書・論文の抄録と全文・公的資料を取り直して確かめ、次の点を直しました。判断ブロックの要約で、薬への反応の予測の根拠を「小規模な研究」とまとめていましたが、学会報告(Wakisaka 2005)は488人を対象にしており小規模とは言えないため、「2ページの学会報告と25人の研究」と書き分けました。系統的レビュー(Kuczara 2024)の人数「約2,900人」を、全文の数字(男性1,295人・女性1,565人の計2,860人)に改めました。「薬への反応が予測できる」という説明の根拠として「よく引かれる」と書いていた箇所は、引かれている頻度を確かめられなかったため、「対応する研究としては」に改めました。「多くの遺伝子検査キットが測る」は、確かめたキットの販売ページ1件と医療機関のページ1件の範囲で「キットの説明に出てくる」に改めました。「ガイドラインと添付文書には採血を求める記載は見当たらない」には検索の範囲(2026年10月9日、「採血」「血液検査」)を書き足し、薬を始める前に採血をする医療機関の例と費用(各院の料金ページ)を加えました。FAQ Q1 の「公式サイトに記載のない医療機関もある」は確かめられなかったため削除しました。毛髪DHTキットの販売元のページを参考文献に加え、ガイドラインのリンクを現在のURLに替えました。

参考文献

  1. 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版: 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777(疾患概念・病態・診断、表1 CQ一覧、CQ1 の PSA の記述). (診療ガイドライン2017年版。2016年12月までに検索できた文献が対象で、それ以降の報告は反映されていない。14のCQはすべて治療の項目で、検査を扱うCQはない) 日本皮膚科学会のPDF(2026年10月9日確認)
  2. プロペシア錠0.2mg/1mg 添付文書(オルガノン。5.1 効能又は効果に関連する注意、12 臨床検査結果に及ぼす影響、25 保険給付上の注意). (添付文書 2023年8月改訂 第4版。PSA の約40%低下は国内の24〜50歳の男性型脱毛症患者のデータ) PMDA/KEGG MEDICUS(JAPIC)(2026年10月9日確認)
  3. ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(グラクソ・スミスクライン。5.1 効能又は効果に関連する注意、8.2 重要な基本的注意〔PSA〕、25 保険給付上の注意). (添付文書 2025年8月改訂 第2版。PSA の約50%減少は前立腺肥大症の患者に0.5mg/日を6ヵ月投与したときのデータで、男性型脱毛症の患者については「減少すると推測される」との記載) KEGG MEDICUS(JAPIC)/JAPIC のPDF(2026年10月9日確認)
  4. D'Amico 2007: D'Amico AV, Roehrborn CG. Effect of 1 mg/day finasteride on concentrations of serum prostate-specific antigen in men with androgenic alopecia: a randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2007;8(1):21-25. (RCT、40〜60歳の男性型脱毛症の男性355名をフィナステリド1mgとプラセボに4対1で割り付け、48週。48週より先の影響は調べていない。実施国は抄録に書かれていない。抄録のみ確認) PubMed: 17196507
  5. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脱毛症」Q4・Q7. (学会の一般向け解説ページ。個々の研究の数字は示していない) Q4/Q7(2026年10月9日確認)
  6. 日本皮膚科学会「円形脱毛症診療ガイドライン2024」日皮会誌. 2024;134(10):2491-2526(病型、合併症、保険診療の記述). (診療ガイドライン。血液検査は合併症の確認のために「必要に応じて」行ってもよいという記載で、検査の有用性を比べた試験の記述ではない) 日本皮膚科学会のPDF(2026年10月9日確認)
  7. Kuczara 2024: Kuczara A, Waśkiel-Burnat A, Rakowska A, et al. Trichoscopy of Androgenetic Alopecia: A Systematic Review. J Clin Med. 2024;13(7):1962. (システマティックレビュー、34論文・AGAの人2,860名〔男性1,295名・女性1,565名〕。所見の頻度は男女をあわせた集計で、論文ごとの幅が大きい。全文で確認) PubMed: 38610726
  8. Inui 2009: Inui S, Nakajima T, Itami S. Scalp dermoscopy of androgenetic alopecia in Asian people. J Dermatol. 2009;36(2):82-85. (観察の研究、アジア人のAGAの男性50名と女性10名。健康な人との比較はない。抄録のみ確認) PubMed: 19284450
  9. Malkud 2015: Malkud S. Telogen Effluvium: A Review. J Clin Diagn Res. 2015;9(9):WE01-3. (叙述的レビュー。著者1名で、文献の集め方は書かれていない。抄録のみ確認) PubMed: 26500992
  10. Zhuo 2012: Zhuo FL, Xu W, Wang L, et al. Androgen receptor gene polymorphisms and risk for androgenetic alopecia: a meta-analysis. Clin Exp Dermatol. 2012;37(2):104-111. (遺伝子の関連研究8件のメタ解析、AGAの人2,074名と健康な人1,115名。条件に合う研究が8件と少ない。実施国は抄録に書かれていない。抄録のみ確認) PubMed: 21981665
  11. Hagenaars 2017: Hagenaars SP, Hill WD, Harris SE, et al. Genetic prediction of male pattern baldness. PLoS Genet. 2017;13(2):e1006594. (UK Biobank の40〜69歳の白人の英国人男性52,874名の遺伝子解析。薄毛の程度は4段階の自己申告で、医師の診断ではない。日本人は含まれない。全文で確認) PubMed: 28196072
  12. Wakisaka 2005: Wakisaka N, Taira Y, Ishikawa M, et al. Effectiveness of finasteride on patients with male pattern baldness who have different androgen receptor gene polymorphism. J Investig Dermatol Symp Proc. 2005;10(3):293-294. (学会報告〔2ページ〕、18〜62歳の男性488名。対照群はなく、抄録に効果の大きさは示されていない。抄録のみ確認) PubMed: 16382684
  13. Ghassemi 2019: Ghassemi M, Ghaffarpour GH, Ghods S. The effect of GGC and CAG repeat polymorphisms on the androgen receptor gene in response to finasteride therapy in men with androgenetic alopecia. J Res Med Sci. 2019;24:104. (症例対照研究、イランのAGAの男性25名とAGAのない男性25名。人数が少ない。抄録のみ確認) PubMed: 31949455
  14. Torres de Souza 2026: Torres de Souza G, Williams G, Vicente Silva CC, et al. Use of genetics in the prediction of success in male pattern hair loss therapy and mechanistic studies. Front Pharmacol. 2026;17:1765808. (叙述的レビュー。著者7名のうち5名が遺伝子検査を手がける企業グループの社員。全文で確認) PubMed: 41769701
  15. 厚生労働省 ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース 第4回(2016年1月27日)資料4「消費者向け遺伝子検査ビジネス」. (公的機関の会議の配布資料。対象は消費者が自ら検体を採り、結果が直接返される型の検査) 厚生労働省のPDF(2026年10月9日確認)
  16. 日本人類遺伝学会「DTC遺伝学的検査に関する見解」(2008年10月2日). (学会の見解。2008年の時点のもの) 日本人類遺伝学会のページ(2026年10月9日確認)
  17. 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月・令和8年4月改訂。用語の定義、医師-患者関係、適用対象、診療計画). (国の指針。改訂されることがある) 厚生労働省のPDF(2026年10月9日確認)
  18. 内閣府 規制改革推進室「保険診療と保険外診療の併用療養制度(いわゆる混合診療)」資料1-1(2013年11月28日). (公的機関の会議資料。2013年時点の制度の説明で、制度は改定されることがある) 内閣府のPDF(2026年10月9日確認)
  19. 国民生活センター「増加する美容医療サービスのトラブル」(2023年8月30日公表). (公的機関の公表資料。寄せられた相談の事例で、件数の多さや頻度を示すものではない) 国民生活センターのページ(2026年10月9日確認)
  20. あすか製薬「毛髪ホルモン量測定キット」の案内ページ(「※当キットは診断に代わるものではございません。」の記載). (販売元のページ。確かめたのはこの1社のページで、ほかのキットの表示は確かめていない) 販売元のページ(2026年10月9日確認)
  21. 遺伝子検査の説明の例:DNA FACTOR「AGAリスク遺伝子検査」の販売ページ(対象遺伝子「AR GGC repeat」「AR CAG repeat」、フィナステリドの効きやすさの説明)と、イースト駅前クリニック「AGA検査キット」のページ(クリニックで行う血液を用いた遺伝子検査の説明). (販売元と医療機関のページ。確かめたのはこの2件で、すべてのキットが同じ配列を測るかは確かめていない) DNA FACTOR のページ/イースト駅前クリニックのページ(2026年10月9日確認)
  22. 各院の料金ページ:ゴリラクリニック「AGA治療の料金」(血液検査代3,800円、3か月トライアルの契約では投薬開始前の血液検査が無料)と、AGAスキンクリニック「料金」(血液検査0円、「特定のお薬処方の際、服薬前と服薬後の体調変化を調べるもの」). (医療機関の公式サイトの表示。価格は改定されることがある。ゴリラクリニックの血液検査代の注記には税込かどうかの表示がない) ゴリラクリニック 料金/AGAスキンクリニック 料金(2026年10月9日確認)

医療免責 :AGAかどうかの診断と治療方針は医師が行います。本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。自宅で使う検査キットの結果は、医師の診断ではありません。効果・副作用には個人差があり、効果を保証するものではありません。薬の開始・変更・中止は自己判断せず、必ず医師に相談してください。

医師個人による執筆・監修は行っていません。学会ガイドライン等の公開資料を編集部が整理しています。記載した情報は2026年10月9日に確認したもので、最新の情報は各医療機関・厚生労働省・製薬企業の公式情報をご確認ください。

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