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AGA・薄毛

フィナステリドからデュタステリドへの切り替え|医師と相談する前に確かめること

最終更新 編集方針PR
公開 2026-05-03約9分で読めます

本記事はアフィリエイト広告を含みます。掲載順位やレビュー内容は報酬の有無に影響されません。詳細

要点この記事のポイント

フィナステリドからデュタステリドへの切り替えを考える人向けに、添付文書と日本皮膚科学会のガイドライン、917名・24週の比較試験で確かめられる範囲を整理。用量、体に残る期間、副作用の頻度、献血できない期間、PSA検査への影響、医師に伝えることを並べます。

  1. ガイドラインと両剤の添付文書には、フィナステリドからデュタステリドへ切り替える時期や手順(休薬期間の有無を含む)の記載はない
  2. 両剤とも、効果の確認・評価には通常6ヵ月が必要と添付文書にある
  3. 承認用量どうしをくらべた二重盲検の試験(917名・24週)では、頭頂部の毛髪数の変化がデュタステリド0.5mg +89.6本、フィナステリド1mg +56.5本。太い毛の数と治験担当医の写真評価では差がなかった
  4. ザガーロの通常用量は0.1mgで、0.5mgは「必要に応じて」の用量。0.1mgはフィナステリド1mgに対する非劣性が検証されている
  5. 献血できない期間は服薬中止後、フィナステリド1ヵ月、デュタステリド6ヵ月
  6. 切り替えるかどうかは、処方医(オンライン診療を含む)と相談して決める

この記事の判断材料

結論

切り替えの時期や手順を示した記載は、添付文書にもガイドラインにもない。承認用量どうしをくらべた二重盲検の試験(917名・24週)ではデュタステリド0.5mgの毛髪数の増え方が上回ったが、太い毛の数と担当医の写真評価では差がなかった。切り替えるかどうかは医師と相談して決める。

エビデンスの強さ

限定的承認用量どうしの直接比較は、二重盲検のRCT1件(917名・24週)と非盲検のRCT1件(90名・24週)。フィナステリドで効果が不十分だった人がデュタステリドに替えた試験は、対照群のない小規模なもの(35名)だけ。

研究結果

  • RCT / N=917 / 2014 / Gubelin Harcha 2014
  • RCT / N=90 / 2017 / Shanshanwal 2017
  • 臨床試験 / N=35 / 2014 / Jung 2014
  • RCT / N=153 / 2010 / Eun 2010
  • RCT / N=1,553 / 1998 / Kaufman 1998
  • RCT / N=399 / 2004 / Clark 2004
  • RCT / N=249 / 1999 / Drake 1999
  • 診療ガイドライン / 2017 / 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

Re:Men の解釈

917名の試験が調べたのは、割り付けた薬どうしの差。フィナステリドを続けてきた人が替えたときの上乗せを、続けた人とくらべた試験はない。体に残る期間、献血、PSA検査、同居する家族への配慮も含めて、医師と決める選択として読むのが原本に沿う。

今日やること

  1. 今飲んでいる薬の名前と1回量(0.2mgか1mgか)、飲み始めた日を控える
  2. 開始時と今の頭頂部・前頭部の写真を、同じ明るさと角度でそろえる

この方法を試す前に

  1. フィナステリドで発疹・じんま疹・むくみなどの過敏症が出たことがある人は、デュタステリドを使えない(添付文書の禁忌:他の5α還元酵素阻害薬に対する過敏症の既往)
  2. 女性・小児はデュタステリドを服用できない(添付文書の禁忌)。カプセルは経皮吸収されるため、家族の女性や子どもが漏れた中身に触れないようにする
  3. 重い肝機能障害がある人はデュタステリドを使えない(添付文書の禁忌)
  4. デュタステリドは中止後の献血できない期間が6ヵ月と長い(日本赤十字社の血液センター)
  5. 性機能や気分の変化がすでにある人は、切り替えの前にその内容を医師に伝える
フィナステリドからデュタステリドへの切り替え|医師と相談する前に確かめること のメインビジュアル

フィナステリドを続けてきたが、毛量の変化が止まったように感じる。そうしたときに医師から、あるいはネットの情報で候補に挙がるのが、デュタステリド(先発品:ザガーロ)への切り替えです。デュタステリドは5α還元酵素のI型とII型の両方を、フィナステリドはII型を阻害する薬です(日本皮膚科学会ガイドライン)。

この記事では、両剤の添付文書、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下、ガイドライン)、臨床試験の論文抄録、日本赤十字社の血液センターの案内で確かめられる範囲に絞って、切り替えを医師と相談するときの材料を並べます。両剤の違いを一覧にした表は デュタステリドとフィナステリドの違い にまとめています。この記事で「記載はない」と書くときは、両剤の添付文書、ガイドライン、引用した論文の抄録で見つからなかったという意味です。

医療に関する注意 :AGAの診断と治療方針の決定は医師が行います。本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療に代わるものではありません。効果・副作用には個人差があります。薬の開始・変更・中止は自己判断せず、必ず医師に相談してください。

本記事の立場 :医師個人による執筆・監修は行っていません。学会ガイドライン等の公開資料を編集部が整理しています。

切り替えが話題になる場面

ガイドラインは、フィナステリドとデュタステリドの内服を、男性型脱毛症にそれぞれ推奨度A(行うよう強く勧める)としています。どちらを先に使うべきかの順番は示していません。そのうえで、切り替えが話題になるのは次のような場面です。

1. 毛量の変化が止まったように感じる

フィナステリド1mgの1年間の試験2件(Kaufman 1998、18〜41歳の1,553名。うち1,215名が2年目の盲検延長試験に参加)では、1年時点と2年時点のどちらでも、すべての評価方法でプラセボを上回りました(抄録)。一方で、何ヵ月目で変化が頭打ちになるかを示した記載はありません。「止まった」と感じたら、まず同じ条件で撮った写真をそろえて医師と見比べます。

2. 抜け毛や地肌の見え方が再び気になってきた

いったん落ち着いた後に、抜け毛や地肌の透けが再び気になる人もいます。原因は薬の力の不足に限らず、飲み忘れや別の脱毛症の可能性もあるため、診察で確かめてもらう必要があります。

3. 前頭部の薄毛が気になる

917名のランダム化比較試験(Gubelin Harcha 2014)では、頭頂部と前頭部の写真評価も行われています。前頭部については、専門家パネルの写真評価でデュタステリド0.5mgが上回りました(抄録では P=.002)が、点数差は0.24で、担当医の評価では差がありませんでした。ガイドラインは、頭頂部0.14・前頭部0.24という点数差を「わずかなもの」としています。前頭部の毛髪数をくらべた結果は、抄録と添付文書にはありません。

4. 毛量をいまより増やしたいと考えている

この場合に医師と相談する選択肢には、デュタステリドへの切り替えと、ミノキシジル外用の追加があります。ガイドラインはミノキシジル5%の外用も推奨度Aとしています(併用そのものを評価した項目はありません)。どちらも効果には個人差があり、どちらを検討するかは医師と相談してください。

フィナステリドとデュタステリドの違い(要点)

詳細は デュタステリドとフィナステリドの違い に譲り、ここでは切り替えの相談に関係する項目だけを並べます。

項目 フィナステリド(プロペシア錠) デュタステリド(ザガーロカプセル) 出典
阻害する5α還元酵素 II型 I型とII型 ガイドライン
用法及び用量 通常0.2mgを1日1回。必要に応じて増量でき、1日1mgが上限 通常0.1mgを1日1回。必要に応じて0.5mgを1日1回 各添付文書
半減期 健康成人に1mgを1回飲んだとき約4時間 前立腺肥大症の患者に0.5mgを6ヵ月飲んだときの定常状態の半減期3.4±1.2週。男性型脱毛症の患者(外国人)が24週飲んだ後、血中濃度が定量下限未満になったのは最終投与から0.1mgで12週、0.5mgで20週 各添付文書
血中DHTの低下 男性型脱毛症の男性の42日の試験(Drake 1999)で、0.2mg −68.6%、1mg −71.4% 男性型脱毛症の患者の24週時点で0.1mg −83.6%、0.5mg −90.9%(添付文書) 添付文書、Drake 1999、Clark 2004
献血できない期間 服薬中止後1ヵ月 服薬中止後6ヵ月 日本赤十字社(血液センター)
PSA検査への影響 国内の試験でPSA濃度が約40%低下。2倍した値を目安に評価 6ヵ月後にPSA値が約50%減少。6ヵ月以上飲んでいる人は2倍した値を目安に比較 各添付文書

血中DHTの行は、左右で試験も期間も違うため、数字どうしは比べられません。両剤を同じ試験でくらべたのは前立腺肥大症の男性の試験(Clark 2004)だけで、デュタステリド0.5mg 94.7%、フィナステリド5mg 70.8%でした。

デュタステリドは、体に残る期間と献血できない期間がフィナステリドより長い薬です。費用は医療機関ごとに違うため、目安は AGA治療の費用相場 で確認してください。

切り替えを相談する前に確かめること

ガイドラインと両剤の添付文書には、切り替えの時期や条件を示した記載はありません。以下は、添付文書とガイドラインの記載をもとに、相談の前にそろえておくと話が進みやすい項目です。

確認1:フィナステリドを6ヵ月以上続けたか

プロペシアの添付文書は、効果の確認までに通常6ヵ月の連日投与が必要としています。3ヵ月ほどで「変化がない」と判断するのは、添付文書が示す評価の時期より前です。

プロペシアの添付文書は、6ヵ月以上飲んでも進行遅延がみられない場合は投薬を中止すること、また、増量による効果の増強は確認されていないことも書いています。国内48週の試験では、写真評価で「改善」と判定された割合は0.2mg群54.2%、1mg群58.3%で、用量の間に統計的な差はありませんでした。

確認2:写真で比べたか

臨床試験は頭頂部の毛髪数や写真で評価しています。 同じ照明・同じ角度で撮った定点写真 を用意して医師と見比べてください。経過の目安は AGA治療の効果はいつから? にまとめています。

確認3:毎日飲めていたか

「変化がない」と感じる背景に、飲み忘れが隠れていることがあります。フィナステリドの半減期は、添付文書では健康成人に1mgを1回飲んだときに約4時間です。飲み忘れがどの程度なら効果に影響するかの記載はないので、切り替えを考える前に 毎日同じ時間に服用できていたか を振り返ってください。

確認4:ミノキシジル外用の追加も含めて医師と相談したか

日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)は、5α還元酵素阻害薬(フィナステリド・デュタステリド)の内服と、ミノキシジル5%の外用を、それぞれ推奨度Aとしています(併用そのものを評価した項目はありません)。フィナステリドで効果が不十分なとき、デュタステリドへの切り替えとミノキシジル外用の追加のどちらを先に検討するかは、医師と相談して決めます。外用と内服の違いは ミノキシジルの外用と内服の違い で整理しています。

先に医師に伝えておきたいケース

今の薬で満足している場合

毛量に満足していて副作用もない場合に、切り替えで何が得られるかを調べた試験はありません。切り替えれば献血できない期間は6ヵ月に延び、体に残る期間も長くなります。続けるかどうかも含めて医師と相談してください。

性機能や気分の変化がすでにある場合

両剤とも、添付文書に性機能の副作用が載っており、中止後も続いたとの報告も記載されています。フィナステリドの添付文書には、抑うつ症状や自殺念慮・自殺企図の報告についての注意があり、ザガーロの添付文書にも抑うつ気分(1%未満)が載っています。こうした変化がある場合は、切り替えの前にその内容を医師に伝え、対応を相談してください。

フィナステリドで過敏症が出たことがある場合

ザガーロの添付文書は、本剤の成分と他の5α還元酵素阻害薬に対して過敏症の既往歴がある人を禁忌としています。フィナステリドで発疹・じんま疹・むくみなどの過敏症が出たことがある人は、デュタステリドを使えません。当てはまる場合は、切り替えの相談の前に医師に伝えてください。

飲み始めて6ヵ月未満の場合

上のとおり、添付文書は効果の確認に通常6ヵ月が必要としています。6ヵ月に満たない段階での判断は、医師とよく相談してください。

妊娠を計画しているパートナーがいる場合

両剤とも女性への投与は想定されておらず、フィナステリドの添付文書は、妊娠中の女性に投与すると男子胎児の生殖器官等の正常な発育に影響するおそれがあるとしています。デュタステリドは経皮吸収されるため、女性や小児がカプセルから漏れた薬剤に触れないよう添付文書が求めています。ザガーロの添付文書には、0.5mgを52週飲んだ健康な男性で総精子数・精液量・精子運動率がそれぞれ平均23%・26%・18%減り、中止後24週でも総精子数は23%減のままだったという海外試験が載っています(平均値は正常範囲内で、受胎能への影響は不明とされています)。プロペシアの添付文書には、男性不妊症・精液の質低下の報告(頻度不明)と、中止後に正常化したとの報告が載っています。デュタステリドは体に残る期間も長いので、生殖の計画がある場合は切り替えの前に医師に伝えてください。

切り替える場合に医師と決めること

切り替えの手順

両剤の添付文書とガイドラインには、フィナステリドからデュタステリドへの切り替えの手順や、間に休薬期間を置くかどうかの記載はありません。フィナステリドをいつやめて、デュタステリドをいつから始めるかは、処方医の指示に従ってください。フィナステリドとデュタステリドを同時に飲むことを評価した記載もありません。

用量

ザガーロの添付文書は、通常0.1mgを1日1回、必要に応じて0.5mgを1日1回としています。917名の試験(Gubelin Harcha 2014、ザガーロ添付文書 17.1.1)では、0.1mgと0.5mgの両方でプラセボに対する優越性とフィナステリド1mgに対する非劣性が検証されました。917名の試験で、ザガーロの通常用量0.1mgとフィナステリド1mgの毛髪数の差は6.5本(p=0.56)でした。プロペシアの通常用量は0.2mgで、1mgは上限です。どの用量にするかは医師が決めます。

飲むタイミング

ザガーロは1日1回飲む薬です。添付文書によると、承認用量より多い2.5mgを1回飲んだ試験で、食後はAUC(体に取り込まれた量の指標)がわずかに減りましたが、臨床上影響を与えるものではないとされています。カプセルは噛んだり開けたりしないよう添付文書に記載があります。

切り替えた後の経過について分かっていること

フィナステリドで変化がなかった人がデュタステリドに替えた試験は、対照群のない小規模なもの(Jung 2014)が1件あります。フィナステリド1mgを6ヵ月以上飲んでも変化がなかった韓国人男性35名がデュタステリド0.5mgを6ヵ月飲み、完了した31名のうち24名が写真評価で「改善」と判定されました。一過性の性機能障害は6名にみられました。フィナステリドを続けた人とくらべていないため、替えたことによる差かどうかは分かりません。以下は、フィナステリドを飲み続けてきた人に限らない試験と添付文書の値です。

血中DHTの下がり方

ザガーロの添付文書によると、男性型脱毛症の患者に1日1回飲んだとき、血清DHTは12週時点で0.1mg −85.8%、0.5mg −91.2%、24週時点で0.1mg −83.6%、0.5mg −90.9%でした。頭皮中のDHTは投与6ヵ月で0.1mg 40%、0.5mg 52%減っています。何週目から下がり始めるかを示した記載はありません。

6ヵ月(24週)時点の試験結果

917名の試験(Gubelin Harcha 2014)では、24週時点の頭頂部の直径2.54cmの円内の毛髪数の変化(調整済み平均)が、デュタステリド0.5mg +89.6本、0.1mg +63.0本、フィナステリド1mg +56.5本、プラセボ −4.9本でした(ザガーロ添付文書)。ガイドラインは、直径60μm以上の硬毛数と治験担当医の写真評価では両者に差がなかったとし、「両者の効果差については今後さらなる検討を要する」としています。

承認用量どうしをくらべた試験には、非盲検(評価者は盲検)の小規模なランダム化比較試験(Shanshanwal 2017、18〜40歳の男性90名・24週)もあります。抄録では、1cm²あたりの総毛髪数がデュタステリド0.5mg群で223→246本、フィナステリド1mg群で227→231本でした。非盲検の小規模な試験で、著者も限界に挙げています。

別の試験(Eun 2010、153名・6ヵ月)では、デュタステリド0.5mg群の毛髪数が+12.2本/cm²、プラセボ群が+4.7本/cm²でした(抄録)。この試験にフィナステリド群はありません。数える範囲や単位が917名の試験と違うため、本数どうしを比べることはできません。

1年以降

ザガーロの添付文書は、効果の評価には通常6ヵ月の治療が必要で、6ヵ月以上飲んでも効果が認められない場合は投与を中止することとしています。ガイドラインは、デュタステリドの「1年を超える長期投与での効果や投与中止後の毛髪量変化については検討されていない」としています。国内の120名の52週の試験では、開始時から毛髪数が+68.1本でした(比較対照なし、ザガーロ添付文書 17.1.2)。

副作用:添付文書の頻度

両剤の添付文書に載っている性機能の副作用の数字を並べます。試験の設計が違うため、左右の数字をそのまま比べることはできません。

項目 フィナステリド(プロペシア錠) デュタステリド(ザガーロカプセル)
試験での副作用の発現割合 国内48週:1mg群6.5%(9/139例)、プラセボ群2.2%(3/138例) 国際24週:17.1%(95/557例、3用量の合計)/国内52週:16.7%(20/120例)
試験内の性機能の副作用 国内48週:性機能に関する副作用は1mg群2.9%(4/139例)、0.2mg群1.5%(2/137例)、プラセボ群2.2%(3/138例) 国際24週(3用量の合計557例):勃起不全4.3%、リビドー減退3.9%。国内52週(120例):勃起不全10.8%、リビドー減退8.3%、射精障害4.2%
中止後も続いたとの報告 勃起機能不全・射精障害・リビドー減退について、市販後に報告がある 性機能不全について報告がある
乳房 乳房圧痛、乳房肥大(頻度不明) 乳房障害:女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感(1%未満)

フィナステリドの国内試験はプラセボ群を置いた48週の二重盲検です。デュタステリドの国際試験の17.1%は0.02mgから0.5mgまでの3用量を合わせた数字で、添付文書にはプラセボ群やフィナステリド群の副作用の割合は載っていません。国内52週の16.7%は比較対照のない試験です。

同じ試験の中で両剤をくらべた結果もあります。917名の試験の抄録は、有害事象の数と程度は治療群の間で同程度だったとしています。この試験の群別の数字を再集計したレビュー(Ding 2024)では、性機能に関する有害事象はプラセボ6.6%、デュタステリド0.5mg 10.3%、フィナステリド1mg 13.4%でした。群の間の統計的な比較は示されておらず、どちらが少ないとは言えません。

ガイドラインは、国際試験での有害事象をリビドー減少3.3%、インポテンツ5.4%、射精障害3.3%、韓国の市販後調査(712例)では1.3%、1%、0.1%と書いたうえで、国内の52週の試験(リビドー減少8.3%、インポテンツ11.7%、射精障害5.0%)を「比較的高率であった」としています。投与にあたっては添付文書をよく読み、十分な説明と同意が必要だとも書いています。ガイドラインの数字は有害事象、上の表の添付文書の数字は副作用で、集計の仕方が違います。

体に残る期間

デュタステリドは、前立腺肥大症の患者に0.5mgを6ヵ月飲んだときの定常状態の半減期が3.4±1.2週です。男性型脱毛症の患者(外国人)が24週飲んだ後、血中濃度が定量下限未満になったのは最終投与から0.1mgで12週、0.5mgで20週だったと添付文書にあります。やめても、しばらく体に残るということです。副作用が出て中止した場合に、症状がどのくらいで落ち着くかを示した数字はありません。

PSA検査

PSAは前立腺がんの検査に使う血液の値です。プロペシアの添付文書は、国内の男性型脱毛症の患者でPSA濃度が約40%低下したとし、前立腺がんの診断の目的で測るときは2倍した値を目安に評価するよう書いています。ザガーロの添付文書は、前立腺肥大症の患者に0.5mgを投与した場合に6ヵ月後にPSA値を約50%減少させるとし、6ヵ月以上飲んでいる人の測定値は2倍した値を目安に比べるよう求めています。ザガーロの添付文書は、飲み始めて6ヵ月以降の値を新しい基準として変化を見ること、中止後6ヵ月以内に飲む前の値に戻ることも書いています。健診や人間ドックでは、服用していることを検査の医師に伝えてください。

診察のときに伝えること

用意しておくもの

  • フィナステリドの服用期間と用量(処方の記録や薬袋の写真)
  • 飲み忘れの頻度(自分での振り返り)
  • 定点写真(飲み始める前と現在の頭頂部・前頭部・生え際)
  • ほかに使っている薬・サプリメント(ミノキシジル外用など。デュタステリドは一部の薬と飲み合わせの注意がある)
  • 性機能や気分の変化の有無
  • 献血・健診(PSA検査)の予定、同居する家族の状況

医師に聞いておきたいこと

  • 自分の場合に切り替える利点と、増える負担
  • フィナステリドをいつやめて、デュタステリドをいつから始めるか
  • デュタステリドの用量(0.1mgか0.5mgか)とその理由
  • 切り替えた後に、いつ再診して評価するか
  • 副作用が出たときの連絡先と対応
  • 費用と、後発品を選べるかどうか

オンライン診療で相談する場合

  • 医師が頭皮を直接見られないため、写真の撮り方がそのまま判断材料の質になる
  • 切り替えたい理由を文章で具体的に伝える(いつから、何が、どう気になるか)
  • 副作用が出たときの連絡方法を、始める前に確認しておく
  • 海外製の薬を個人輸入で手に入れるのは避ける。日本の承認基準で品質・有効性・安全性が確かめられたものではなく、健康被害は医薬品副作用被害救済制度の対象外になる
  • オンライン診療の医療機関には、海外製(国内未承認)のフィナステリドやデュタステリドを医師の責任で輸入して処方するところもある。国内で承認された薬(プロペシア・ザガーロと、それぞれの国内の後発品)を希望する場合は、予約の前に扱いを確認する

医療機関ごとの費用の違いは AGA治療の費用相場 で確認できます。

よくある質問

Q. 切り替えるときに休薬期間は要りますか?

両剤の添付文書とガイドラインには、切り替えのときの休薬期間についての記載はありません。フィナステリドの半減期は約4時間(添付文書、1mg単回)ですが、いつやめていつから始めるかは処方医の指示に従ってください。

Q. デュタステリドからフィナステリドに戻すことはできますか?

戻すかどうかも医師と相談して決めることです。戻す手順を示した記載はありません。デュタステリドは中止後もしばらく体に残る(男性型脱毛症の患者が24週飲んだ後、血中濃度が定量下限未満になったのは最終投与から0.1mgで12週、0.5mgで20週)ことと、献血できない期間が中止後6ヵ月であることは、戻す場合にも関係します。

Q. デュタステリドに替えると副作用は増えますか?

同じ試験(917名・24週)の中で両剤をくらべた結果では、抄録は有害事象の数と程度は治療群の間で同程度だったとしています。この試験を再集計したレビュー(Ding 2024)では、性機能に関する有害事象はプラセボ6.6%、デュタステリド0.5mg 10.3%、フィナステリド1mg 13.4%で、群の間の統計的な比較は示されていません。一方、国内でデュタステリド0.5mgを52週飲んだ比較対照のない試験(120例)では、ガイドラインがリビドー減少8.3%、インポテンツ11.7%、射精障害5.0%を「比較的高率であった」としています。フィナステリドを飲んでいた人が替えた場合の副作用を、続けた人とくらべた試験はありません。気になる変化があれば、自己判断で中止せず医師に相談してください。

Q. デュタステリドの後発品でもよいですか?

男性型脱毛症を効能として承認された国内のデュタステリド製剤(ザガーロと、その後発品)であれば、医師の判断で選べます。同じデュタステリドでも「アボルブ」は前立腺肥大症の効能で承認された製剤です。海外製のジェネリックは日本では未承認の医薬品です(記事冒頭の告知を参照してください)。

Q. 切り替えで献血の制限はどう変わりますか?

日本赤十字社の福岡県赤十字血液センターの案内「服薬と献血について」では、フィナステリド(プロペシア等)は服薬中止後1ヵ月、デュタステリド(ザガーロ等)は服薬中止後6ヵ月、献血できません。献血できるかどうかは当日の健診医が最終的に判断します。

Q. フィナステリドとデュタステリドを一緒に飲んでもよいですか?

両剤を同時に飲むことを評価した記載は、添付文書にもガイドラインにもありません。自己判断で重ねて飲まず、医師に相談してください。ミノキシジル外用については、ガイドラインが5α還元酵素阻害薬の内服とそれぞれ推奨度Aとしていますが、併用そのものを評価した項目はありません。

まとめ

  • 切り替えの時期・手順・休薬期間は、添付文書にもガイドラインにも書かれていない。処方医と決める
  • 両剤とも効果の確認・評価に通常6ヵ月が必要。写真と飲み忘れの振り返りを用意して相談する
  • 承認用量どうしをくらべた二重盲検の試験(917名・24週)では、毛髪数はデュタステリド0.5mgが上回ったが、太い毛の数と担当医の写真評価では差がない
  • ザガーロの通常用量は0.1mg、0.5mgは必要に応じての用量
  • デュタステリドは体に残る期間が長く、献血できない期間は中止後6ヵ月。PSA検査は2倍を目安に評価

改訂履歴

2026年9月27日:添付文書・ガイドライン・論文抄録・日本赤十字社の血液センターの案内と照合して改訂しました。デュタステリドの用量(通常0.1mg)と半減期(3.4±1.2週)を添付文書の値に直し、毛髪数+12.2本/cm²の出典をEun 2010に直しました。出典を確かめられなかった副作用の割合、試験の追跡期間、休薬期間や切り替え手順についての記述、効果の時期の目安、費用の目安を削除しました。公開前の点検で、承認用量どうしの非盲検の比較試験(Shanshanwal 2017)、フィナステリドから替えた試験(Jung 2014)、同じ試験の中での副作用の比較、他の5α還元酵素阻害薬への過敏症の禁忌、精液への影響を追記し、Kaufman 1998 の人数と期間、血中DHTの比較、デュタステリドの乳房障害の頻度区分を直しました。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日皮会誌. 2017;127(13):2763-2777(表1 CQ一覧と推奨度/CQ1・CQ2の解説=3件のランダム化比較試験、国際試験・韓国の市販後調査・国内試験の有害事象/CQ3=ミノキシジル外用). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf(2026年9月確認)
  2. プロペシア錠0.2mg/1mg 添付文書(6. 用法及び用量/7. 用法及び用量に関連する注意/8. 重要な基本的注意/9. 特定の背景を有する患者に関する注意/11. 副作用/12. 臨床検査結果に及ぼす影響/16. 薬物動態/17.1.1 国内第Ⅱ/Ⅲ相二重盲検比較試験). https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900XF1021_3_03/249900XF1021_3_03?view=body&lang=ja(2026年9月確認)
  3. ザガーロカプセル0.1mg/0.5mg 添付文書(2. 禁忌/6. 用法及び用量/7. 用法及び用量に関連する注意/8. 重要な基本的注意/10. 相互作用/11. 副作用/15. その他の注意/16. 薬物動態/17.1.1 国際共同第II/III相二重盲検比較試験/17.1.2 国内第III相試験/18. 薬効薬理). https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065940(2026年9月確認)
  4. 日本赤十字社 福岡県赤十字血液センター「服薬と献血について」. https://www.bs.jrc.or.jp/bc9/fukuoka/donation/m2_01_03_index.html(2026年9月確認)
  5. Gubelin Harcha 2014: Gubelin Harcha W, et al. A randomized, active- and placebo-controlled study of the efficacy and safety of different doses of dutasteride versus placebo and finasteride in the treatment of male subjects with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 2014;70(3):489-498.e3.(PMID: 24411083) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24411083/
  6. Shanshanwal 2017: Shanshanwal SJ, Dhurat RS. Superiority of dutasteride over finasteride in hair regrowth and reversal of miniaturization in men with androgenetic alopecia: A randomized controlled open-label, evaluator-blinded study. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2017;83(1):47-54.(PMID: 27549867) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27549867/
  7. Jung 2014: Jung JY, et al. Effect of dutasteride 0.5 mg/d in men with androgenetic alopecia recalcitrant to finasteride. Int J Dermatol. 2014;53(11):1351-1357.(PMID: 24898559) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24898559/
  8. Ding 2024: Ding Y, et al. Dutasteride for the Treatment of Androgenetic Alopecia: An Updated Review. Dermatology. 2024;240(5-6):833-843.(PMID: 39278205) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39278205/
  9. Eun 2010: Eun HC, et al. Efficacy, safety, and tolerability of dutasteride 0.5 mg once daily in male patients with male pattern hair loss: a randomized, double-blind, placebo-controlled, phase III study. J Am Acad Dermatol. 2010;63(2):252-258.(PMID: 20605255) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20605255/
  10. Kaufman 1998: Kaufman KD, et al. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 1998;39(4 Pt 1):578-589.(PMID: 9777765) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9777765/
  11. Clark 2004: Clark RV, et al. Marked suppression of dihydrotestosterone in men with benign prostatic hyperplasia by dutasteride, a dual 5alpha-reductase inhibitor. J Clin Endocrinol Metab. 2004;89(5):2179-2184.(PMID: 15126539) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15126539/
  12. Drake 1999: Drake L, et al. The effects of finasteride on scalp skin and serum androgen levels in men with androgenetic alopecia. J Am Acad Dermatol. 1999;41(4):550-554.(PMID: 10495374) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10495374/

免責事項 :本記事は日本皮膚科学会のガイドライン、医薬品の添付文書、査読論文、日本赤十字社の公開資料をもとにした一般的な情報提供であり、診断・治療に代わるものではありません。医師個人による執筆・監修は行っていません。効果・副作用には個人差があり、効果を保証するものではありません。薬の開始・変更・中止は自己判断せず、医師の診察のもとで判断してください。献血の可否は献血当日の健診医が判断します。記載内容は2026年9月時点の公開資料に基づきます。

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