プロテインの次に買うべきサプリは何か——HMB・グルタミン・EAA・クレアチン 。広告では「飲むだけで筋肉が増える」と謳われがちですが、ヒト試験での効果はそれぞれ大きく異なります。
本記事では4つの主要筋トレ補助サプリを比較し、初心者・中級者・トレーニーそれぞれが どの順序で取り入れるべきかを解説します。プロテインの基礎は プロテイン選び方ガイドを参照。
前提:サプリは食事の上に積み上がる
筋肥大の必須条件は ① 漸進的過負荷のトレーニング ② カロリー収支(プラス) ③ 体重×1.6-2.2gのタンパク質 。これが満たされていない状態でサプリだけ飲んでも効果は出ません。
プロテインで体重×2gを満たしているなら、追加サプリの効果は 0-5%程度 にとどまるのが現実です。それでも「最後の数%」を取りに行きたい人向けに整理します。
クレアチン|最もエビデンスが厚い「最初の追加」
作用
クレアチンリン酸として筋肉に貯蔵され、短時間高強度運動のATP再合成 を高速化。短距離走・ウェイトトレーニング・反復ジャンプの全てでパフォーマンスを向上させる。
エビデンス
Kreider et al.(2017, ISSN Position)のメタ解析では、クレアチン摂取で 筋力+8%、筋持久力+14%、除脂肪体重+平均1.4kg。 数百のRCTで再現性が確認されている、サプリ史上最も研究が積み重なった成分の一つ。
用法
- クレアチンモノハイドレート 5g/日。ローディングは不要
- 水分量を増やす(体重×40ml以上)
- 初週は2-3kgの体重増加(水分)が起きる。脂肪増加ではない
EAA/BCAA|タンパク質が足りない時のみ有効
作用
EAA(必須アミノ酸9種)・BCAA(うちロイシン・イソロイシン・バリン)は筋タンパク質合成(MPS)を直接刺激します。特に ロイシンがmTOR経路を活性化。
エビデンス
Jackman et al.(2017)等の試験で、運動前後のEAA/BCAA摂取はMPSを高めることが示されています。ただし 食事で十分なタンパク質を摂っている場合、追加効果は限定的 というのがMorton et al.(2018, BJSM)のメタ解析の結論です。
用法
- 食間が空く時、絶食状態でのトレーニング、減量期に有効
- EAA 10-15g/回 or BCAA 5-10g/回
- プロテイン(ホエイ20g)が摂れる環境なら、わざわざEAAは不要
- EAAとBCAAの比較は EAA vs BCAAを参照
HMB|初心者と高齢者には効くが上級者には限定的
作用
HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)はロイシンの代謝産物。筋タンパク質分解の抑制 を主作用とする。
エビデンス
Jakubowski et al.(2020)のメタ解析では、 未経験者・高齢者で除脂肪体重と筋力の有意な改善 。一方、トレーニング歴1年以上の中・上級者では効果が小さいか、有意差なしの結果が多い(Phillips, 2017)。
用法
- 1日3g(運動前後+睡眠前に分割)
- 初心者・40代以降の運動再開組には推奨度高め
- クレアチン・プロテイン併用が前提
- 「飲むだけで筋肉」という広告は誇大。トレーニング必須
グルタミン|免疫・腸・コンディショニング
作用
体内で最も豊富な遊離アミノ酸。 免疫細胞のエネルギー源、腸粘膜の維持、グリコーゲン再合成 に関与する。
エビデンス
Phillips(2007)のレビューでは、筋肥大への直接効果は乏しい というのが現代の科学コンセンサス。ただし長時間運動後の免疫低下の予防 (Castell, 2003)、過酷なトレーニング期の消化器症状の軽減には一定の有効性がある。
用法
- 1日5-15g(分割摂取)
- 連続トレーニング期、減量期、レース前後の体調管理として
- 筋肥大目的では優先度は低い
- 過敏性腸症候群(IBS)の改善目的の使用も増えている
主要4サプリ 比較表
| サプリ | 主な目的 | エビデンスの強さ | 推奨対象 | 1日量 |
|---|---|---|---|---|
| クレアチン | 筋力・パワー向上 | ★★★★★ | 全レベル | 5g |
| EAA/BCAA | 筋合成サポート | ★★★(食事不足時) | 減量期・絶食トレ | 10-15g |
| HMB | 分解抑制 | ★★(初心者・高齢者) | 未経験者・40代以降 | 3g |
| グルタミン | 免疫・腸・回復 | ★★(コンディショニング) | 長時間運動・減量期 | 5-15g |
優先順位の決め方
初心者(トレーニング歴1年未満)
- プロテイン(体重×1.6-2.0g)
- クレアチン 5g/日
- 余裕があればHMB 3g/日(効果が出やすい層)
中級者(1-3年)
- プロテイン
- クレアチン
- 減量期 or 食間が空く時にEAA 10-15g
上級者・大会出場者
- プロテイン+クレアチン
- EAA/BCAA(減量・絶食トレ時)
- 連戦・長時間練習が続く時にグルタミン 10g
40代以降の運動再開組
- プロテイン(体重×1.6g以上、特に朝)
- クレアチン 5g(脳機能サポートのエビデンスもあり)
- HMB 3g(筋分解抑制で再発防止)
よくある誤解
「HMBはプロテインの上位互換」
違う。HMBはロイシン代謝産物の一部にすぎず、プロテインの代替にはならない。広告のミスリードに注意。
「グルタミンを飲めば筋肉が増える」
ヒト試験では筋肥大効果は乏しい。コンディショニング・腸ケア用途として割り切る。
「BCAAだけ飲めばOK」
必須アミノ酸9種のうち3種だけでは筋合成を最大化できない。単独で買うよりEAAを推奨。
よくある質問
Q1. クレアチンは腎臓に悪い?
健康な腎機能の成人で、推奨量内(5g/日)の長期摂取で腎機能悪化を示すRCTは存在しない(Kreider et al., 2017)。腎疾患既往がある人は医師相談を。
Q2. HMBはステロイドのような効果がある?
ない。HMBはロイシン代謝産物のアミノ酸関連物質で、ホルモン様作用はない。ステロイド広告と混同しないこと。
Q3. グルタミンは下痢に効く?
IBS患者対象の小規模試験で症状改善が報告されている(Zhou et al., 2019)が、便秘型・下痢型で効果が異なる。
Q4. サプリは何時に飲むべき?
クレアチン・HMBは時間帯ノンクリティカル(毎日同量を継続)。EAAは運動前後+食間。グルタミンは就寝前と運動後。
まとめ
- サプリより先にプロテイン+トレーニング+食事収支を整える
- 追加するならクレアチン5g/日が最強コスパ
- HMBは初心者・40代以降に効く、上級者には限定的
- グルタミンは筋肥大ではなく免疫・腸・コンディショニング用途
- EAAは食事のタンパク質が不足する時に補助で
関連:クレアチン徹底解説/ EAA vs BCAA/ プロテイン選び方
参考文献
- Kreider RB, et al. International Society of Sports Nutrition position stand: safety and efficacy of creatine supplementation. Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2017;14:18.
- Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains. BJSM. 2018;52(6):376-384.
- Jakubowski JS, et al. Supplementation with the leucine metabolite β-hydroxy-β-methylbutyrate. Nutrients. 2020;12(5):1523.
- Castell LM. Glutamine supplementation in vitro and in vivo, in exercise and in immunodepression. Sports Medicine. 2003;33(5):323-345.
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