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性の悩み

テストステロン補充療法(TRT)とは|対象・方法・効果とリスクを診療の手引きと臨床試験で整理

出典の確認 最終更新 編集方針PR
公開 2026-04-06約14分で読めます編集責任者: 寺本

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要点この記事のポイント

テストステロン補充療法(TRT)の対象と診断の基準、国内で使えるテストステロンの注射剤と塗り薬、臨床試験で確かめられている効果と限界、多血症・精子への影響・前立腺などのリスク、治療の前と治療中の検査を、LOH症候群の診療の手引き(2022年版)と添付文書、論文で整理しました。

  1. テストステロン補充療法(TRT)の対象は、診療の手引き(2022年版)では、LOH症候群の症状や徴候がある40歳以上の男性。診断は、症状と血液検査(午前の総テストステロン250ng/dL未満、補助として遊離テストステロン7.5pg/mL未満)の両方で行う
  2. 国内で使えるテストステロンの薬は、医療機関で打つテストステロンエナント酸エステルの注射剤と、薬局で薬剤師から買う第1類医薬品の軟膏。ゲル・貼り薬・経鼻剤などは国内で承認されていない
  3. 試験で一貫しているのは、性機能の小〜中程度の改善。活力・認知機能・血糖・骨折では、利益が示されていないか結果が分かれている。大きな試験の多くは、国内で承認されていないゲル剤を使った海外の試験
  4. 主なリスクは、血液が濃くなる多血症(メタ解析で相対リスク8.14)と、精子をつくる働きの抑制。前立腺がんや男性の乳がんがある人には行えない。治療の前にPSAを測り、治療中は定期的に採血する

この記事の判断材料

結論

LOH症候群の症状や徴候がある40歳以上の男性が、症状と血液検査の結果をもとに、利益とリスクの説明を受けたうえで医師と決める治療。試験で確かめられている効果は主に性機能で、幅は小〜中程度。子どもを望む人、前立腺がん・男性の乳がんがある人、多血症や睡眠時無呼吸のある人は、始める前の確認が欠かせない。

エビデンスの強さ

中性機能の改善はプラセボ対照RCTのメタ解析3件で一貫しているが、幅は小〜中程度。活力・認知機能・血糖・骨折では、利益が示されていないか結果が分かれる。大きな試験は国内で承認されていないゲル剤を使った海外のもので、国内で使う注射剤のRCTは日本の1件(334名)。用法・禁忌・検査は手引きと添付文書による。

研究結果

  • メタ解析 / N=1,779 / 2018 / Ponce OJ, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018
  • メタ解析 / N=2,298 / 2017 / Corona G, et al., Eur Urol, 2017
  • RCT / N=790 / 2016 / Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016
  • RCT / N=5,246 / 2023 / Lincoff AM, et al., N Engl J Med, 2023
  • RCT / N=334 / 2016 / Konaka H, et al., Asian J Androl, 2016

Re:Men の解釈

手引きは、テストステロンの補充の主な目的を生活の質の改善としている。試験の結果は控えめで、性機能には小〜中程度の改善がある一方、活力や認知機能には利益が示されていない。国内で使う注射剤について、長い期間の安全性を調べた大きな試験は見当たらない。受診の前に、何が確かめられていて何が確かめられていないかを知るための整理として読んでほしい。

今日やること

  1. 気になる症状(性欲の低下、朝の勃起の減少、疲れやすさ、気分の落ち込みなど)と、続いている期間を書き出す
  2. 直近の健診の結果(ヘモグロビン・ヘマトクリット、血糖、測っていればPSA)と、飲んでいる薬の一覧を用意する
  3. 採血は午前8〜11時が望ましいとされているので、受診は午前の枠で予約する
  4. 子どもを望むかどうかを、受診の前に整理しておく

この方法を試す前に

  1. 前立腺がん・男性の乳がんなど、男性ホルモンで進むがんがある人と、その疑いがある人には行えない(手引きと添付文書の禁忌)
  2. 子どもを望む人は、始める前に医師に伝える。テストステロンの補充は、精子をつくる働きを高い頻度で抑える
  3. うっ血性心不全、多血症、前立腺肥大症、がんの骨転移、睡眠時無呼吸症候群がある人、抗凝血薬(ワルファリンなど)を飲んでいる人は、医師に伝える
  4. 海外製・個人輸入のテストステロン製剤は使わない。国内の法律に基づく品質・有効性・安全性の確認がされておらず、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象にならない
テストステロン補充療法(TRT)とは|対象・方法・効果とリスクを診療の手引きと臨床試験で整理 のメインビジュアル

テストステロン補充療法(TRT:testosterone replacement therapy)は、テストステロン(男性ホルモン)の低下による症状がある男性に、テストステロンを薬で補う治療です。国内では、日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会の「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」(2022年版。以下、手引き)が、対象・方法・注意点をまとめています[1]。

根拠にしたのは、手引きの本文と、注射剤・軟膏の添付文書(どちらも2026年10月4日に確認)、PubMedで題名と著者と抄録を照らし合わせた論文です。数字を出すときは、もとの資料と、調べた対象の人を並べて書きました。費用は、出典と確認日を示せる数字がないため載せていません。

治療を行うかどうかと方法は、症状と検査の結果をもとに医師が判断します。効果には個人差があります。受診の前に、確かめられていることと、まだ分かっていないことを知るための整理として読んでください。

テストステロン補充療法(TRT)の概要

手引きは、主に加齢やストレスに伴うテストステロン値の低下で起こる症候群を、LOH症候群(late-onset hypogonadism)と呼んでいます。女性の更年期障害に似た症状が出るため、男性の更年期という言葉でも語られてきました[1]。テストステロン補充療法は、このLOH症候群に対する治療の中心に置かれています。

治療の目的について、手引きは「TRTの主な目的がQOLの改善にある」と書いています[1]。血液検査の数値を上げること自体を目標にした治療ではありません。年齢とテストステロンの関係や、睡眠・運動・体脂肪との関わりは、テストステロンと生活習慣の研究をまとめた記事で扱っています。

対象になる人と診断の基準

症状

手引きの診断の流れ(8章の図)は、加齢に関わると考えられる症状を3つに分けています[1]。

  • 性機能の症状:早朝勃起の低下、性欲の低下、勃起障害など
  • 精神の症状:うつ傾向、記憶力・集中力の低下、倦怠感・疲労感など
  • 身体の症状:筋力の低下、骨塩量の減少、体脂肪の増加など

症状だけでは診断できません。手引きによると、症状の質問票は、LOH症候群の人を拾う力(感度)は80%以上ある一方、LOH症候群でない人を正しく外す力(特異度)は50%未満と報告されています。このため手引きは、症状を「LOH症候群を疑う入り口」として扱い、診断は症状と検査の両方で行うとしています[1]。質問票の項目は、性の健康のページの「男性ホルモンの低下」の欄に載せています。

血液検査の基準

  • 総テストステロン:250ng/dL未満が診断の基準。まずこの値を測る
  • 遊離テストステロン:総テストステロンが250ng/dL以上のときに測る補助の基準で、7.5pg/mL未満
  • 採血の時刻:テストステロンの値は朝に高く夕方に下がるため、午前8〜11時が望ましい
  • 原因の場所の確認:LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)を測り、脳の下垂体などに原因がある場合(二次性)を確かめる

手引きは、テストステロンの値と症状は連続的に変わるので、基準の値でLOH症候群かどうかを二分することには無理があるとも書いています。測定値にかかわらず、症状と合わせて判断することが求められています[1]。

治療の対象の決め方

手引きでは、テストステロン補充療法の対象は、LOH症候群の症状や徴候がある40歳以上の男性です。治療で生じる利益と不利益、予測されるリスクを評価し、本人に十分に説明して、治療を受ける意思を確かめたうえで行うとされています[1]。

診断の基準になっている2つの値(総テストステロン250ng/dL未満、遊離テストステロン7.5pg/mL未満)について、手引きは、治療の対象を決めるうえでの必須項目とはせず、症状と徴候を中心に判断するとしています。あわせて、値が基準以上の人だけを対象に安全性と有効性を示した報告はなく、根拠は不十分であるとも書いています。値が基準以上の人に行う場合は、有害事象と効果の評価をとくに注意して行うよう求めています[1]。

治療の前に確かめる別の原因

手引きの診断の流れは、テストステロンを測る前に、症状の原因になりうる要因を探し、見つかればその病気の治療を行うとしています。肥満や2型糖尿病はテストステロンの値を下げる要因で、手引きは、減量の治療で総テストステロンも遊離テストステロンも改善すると書いています[1]。

気分の落ち込みが強い場合は、うつ病との見分けが要ります。手引きは、LOH症候群の精神症状とうつ病は似ていて見分けが難しいとし、全国9施設の泌尿器科の男性更年期外来を初めて受診した92名の調査で、44名(47.8%)に大うつ病の診断がついたという国内の報告を紹介しています[1]。眠れない、食欲がない、何をしても楽しめない状態が続くときは、そのことも受診先で伝えてください。

国内で使える薬

注射剤(テストステロンエナント酸エステル)

手引きによると、国内では医療機関での筋肉注射が一般的な方法です。手引きの用量は、テストステロンエナント酸エステル125〜250mgを2〜4週間ごとです。注射の4〜7日後に血液中の遊離テストステロンが最も高くなるため、手引きはこの時期に一度測ることを勧めています[1]。

注射剤の添付文書の効能は「男子性腺機能不全(類宦官症)」などで、「LOH症候群」という語はありません。添付文書の用法は、男子性腺機能不全に対して、1回100mgを7〜10日ごと、または1回250mgを2〜4週間ごとに筋肉内注射する、というものです。男性に使う場合は定期的に前立腺の検査を行うことも書かれています[2]。

塗り薬(第1類医薬品の軟膏)

手引きが国内で使える薬として挙げている塗り薬は、テストステロンを含む軟膏です。薬局で薬剤師から買う第1類医薬品で、手引きは、保険のきかない治療(自由診療)にあたるとしています。陰のう・あごの下・腹部などの皮膚に1日1〜2回塗る薬で、皮膚に刺激の症状が出ることがあります[1]。

この軟膏の添付文書は、使わない人として、男性ホルモンで進む腫瘍やその疑いのある人、排尿困難を伴う前立腺肥大のある人、PSAが2.0ng/mL以上の人、睡眠時無呼吸症候群の人などを挙げています。50歳以上の男性は使う前に前立腺の検査を受ける必要があること、続けて使う人は定期的な検査を受ける必要があること、塗った薬を家族などほかの人に付けないことも書かれています[3]。薬局で買える薬ですが、検査を受けずに自分の判断で続ける使い方は想定されていません。

hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の位置づけ

手引きは、hCGの注射を、精子をつくる働きを保ちたい人や子どもを望む人に使う補助的な方法と位置づけています。男性の性腺機能低下症には保険の適応がなく、LOH症候群での効果は少数例での検討に限られているとも書いています[1]。

海外の剤形と個人輸入

海外にはゲル・貼り薬・経鼻剤などの剤形がありますが、国内では承認されていません(2026年10月4日に医薬品情報のデータベースで確認。テストステロンの医療用医薬品は注射剤だけでした)。厚生労働省は、個人輸入される医薬品は国内の法律に基づく品質・有効性・安全性の確認がされておらず、健康被害が起きても医薬品副作用被害救済制度の対象にならないと案内しています[4]。通販や個人輸入代行で売られているテストステロン製剤は使わないでください。

試験で確かめられていること

手引きは、2007年版の手引きよりあとに発表された、プラセボと比べたRCT(ランダム化比較試験)を項目ごとに集めて、効果をまとめています。そのあとに発表された大きな試験の結果と並べると、次のようになります。

項目 手引き(2022年版)のまとめ 大きな試験・メタ解析の結果
性機能 質問票(IIEF)で評価した勃起の機能を改善する メタ解析で小〜中程度の改善。5,000名規模の試験の中の解析では、性的活動と性欲は改善し、勃起機能は差がなかった
筋肉・体脂肪 筋肉量を増やし、体脂肪量を減らす可能性がある 日本の試験で腹囲の減少と脚の筋肉量の増加。筋力は結果が分かれる
気分・活力 うつ症状への効果は一定の見解が得られていない 活力には利益が示されていない。気分の改善はわずか
認知機能 (まとめに記載なし) 65歳以上の試験で、1年間では差がなかった
骨 骨密度の増加は、メタ解析では認められていない 骨密度が増えた試験がある。骨折は減らず、数の上では補充した群のほうが多かった
血糖 2型糖尿病の人の血糖コントロールに有効 5,000名規模の試験の中の解析では、血糖は改善しなかった
排尿 下部尿路症状の悪化は認められない メタ解析で有意な影響なし

手引き自身も、効果を認めなかったRCTがあること、試験ごとに対象者・薬の種類・期間が違うことを挙げ、結果の読み方に注意を求めています[1]。項目ごとに見ていきます。

性機能

エビデンス:強プラセボ対照RCTのメタ解析3件で一貫して改善。幅は小〜中程度で、試験の多くは海外のゲル剤参照: Ponce OJ, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018、Corona G, et al., Eur Urol, 2017、Hudson J, et al., Lancet Healthy Longev, 2023

朝のテストステロンが300ng/dL以下で症状のある男性を対象にした、12週以上のプラセボ対照RCTのメタ解析があります。バイアスのリスクが低い4試験(1,779名)をまとめた結果、補充で性欲・勃起機能・性的満足が改善しました。効果の大きさ(標準化平均差)は性欲0.17、勃起機能0.16、性的満足0.16で、著者は「小さいが有意」と表現しています。エネルギーと気分には効果がありませんでした(Ponce OJ, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018)[5]。

勃起機能の質問票(IIEF)を使った14件のRCT(2,298名、平均60.2歳、追跡は平均40.1週)のメタ解析では、勃起機能のスコアがプラセボより平均2.31点よくなりました。改善の幅は、総テストステロンが8nmol/L(約231ng/dL)未満の人を対象にした試験で2.95点、12nmol/L(約346ng/dL)未満の試験で1.47点で、糖尿病や肥満があると小さくなりました(Corona G, et al., Eur Urol, 2017)[6]。参加者ごとのデータを17試験(3,431名)から集めた別の解析でも、勃起機能のスコアは2.14点改善し、著者は、軽いEDで臨床的に意味のある最小の差に届く大きさとしています(Hudson J, et al., Lancet Healthy Longev, 2023)[7]。

個々の試験では結果が割れます。65歳以上でテストステロンが275ng/dL未満の男性790名を、テストステロンのゲルとプラセボのゲルに分けて1年間続けた米国の試験では、性的活動・性欲・勃起機能が有意に増えました(Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016)[8]。心血管の安全性を調べた試験(後述)の参加者のうち、性欲が低いと答えた1,161名を調べた解析では、性的活動と性欲はプラセボより改善し、効果は24か月まで続きましたが、勃起機能には差がありませんでした(Pencina KM, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2024)[9]。手引きが集めたRCTでも、効果を認めたものが6編、一部でだけ認めたものが3編、認めなかったものが8編です[1]。

EDが主な悩みの場合について、手引きは、飲み薬のED治療薬(PDE5阻害薬)を第一選択とし、テストステロンの補充が効く場合もある、としています。飲み薬で効果が十分でないときに、補充との併用も考慮されるという位置づけです[1]。ED治療薬の違いはED治療薬3成分の比較に、EDの原因と受診の目安はEDの原因と改善の記事にまとめています。

筋肉と体脂肪

エビデンス:中手引きが集めたRCTの多くで筋肉量の増加か体脂肪量の減少。筋力は結果が分かれる。日本のRCTは1件参照: Konaka H, et al., Asian J Androl, 2016、Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016

手引きが集めた30編のRCTのうち、23編が、筋肉量の増加か体脂肪量の減少のどちらかで効果があったと報告しています。補充を受けた人が100名以上の6編は、すべて効果ありでした。筋力は、プラセボより増えたという報告と、差がなかったという報告の両方があります。手引きのまとめは「筋肉量を増加させ、体脂肪量を減少させる可能性がある」です[1]。

国内の注射剤を使った試験もあります。40歳を超えるLOH症候群の患者334名を、補充を受ける群169名と対照群165名に分けた日本の多施設RCT(EARTH試験)では、52週後に、腹囲と中性脂肪が有意に減り、脚の筋肉量が有意に増えました。全身の筋肉量はP=0.071でした(Konaka H, et al., Asian J Androl, 2016)[10]。手引きの表によると、この試験の用法はテストステロンエナント酸エステル250mgを4週ごとに筋肉注射するものです[1]。抄録には、対照群がプラセボを使ったかどうかの記載がありません。

体を動かす力については、前述の65歳以上の試験で、6分間に歩ける距離が50m以上伸びた人の割合は、歩行の力を調べた試験の参加者では2群に差がありませんでした。3つの試験の全員を合わせると、補充した群が20.5%、プラセボ群が12.6%でした(Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016)[8]。

気分・活力・認知機能

エビデンス:中RCTで活力と認知機能に利益が示されていない。気分の改善はわずかで、手引きも一定の見解がないとしている参照: Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016、Resnick SM, et al., JAMA, 2017、Bhasin S, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2024

手引きは、うつ症状への効果を調べた2007年より後のRCTを、効果あり6編、一部で効果あり2編、効果なし6編と整理し、一定の評価は示されていないとしています[1]。

65歳以上の790名の試験では、活力(疲労の質問票)に有意な利益はありませんでした。気分はプラセボよりわずかによく、抑うつ症状はわずかに軽いという結果でした(Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2016)[8]。同じ試験で認知機能を調べた解析では、加齢に伴う記憶の低下がある493名で、1年後の記憶・実行機能・空間の能力に、プラセボとの差はありませんでした(Resnick SM, et al., JAMA, 2017)[11]。

心血管の安全性を調べた試験の5,204名の解析では、補充した群で気分とエネルギーが「小さいが有意に」改善し、認知機能と睡眠の質は改善しませんでした(Bhasin S, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2024)[12]。試験によって結果が違い、改善があっても幅は小さい、というのが現時点の整理です。性欲の低下そのものの原因と向き合い方は、男性の性欲の低下を扱った記事で説明しています。

骨と血糖

エビデンス:中骨密度が増えたRCTがある一方、骨折は減らなかった。血糖は、手引きのまとめと、その後のRCTの結果が食い違う参照: Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2024、Bhasin S, et al., JAMA Intern Med, 2024

骨について、手引きは、骨密度の増加はメタ解析では認められていないとまとめ、骨折が減るかを調べたRCTはないと書いていました[1]。65歳以上の試験の一部(211名)では、1年間の補充で腰椎の骨密度(CTで測った海綿骨の体積骨密度)が7.5%増え、プラセボは0.8%でした(Snyder PJ, et al., JAMA Intern Med, 2017)[13]。

その後、骨折そのものを調べた結果が出ました。45〜80歳の5,204名を中央値で3.19年追った試験で、骨折は補充した群の91名(3.50%)、プラセボ群の64名(2.46%)に起こりました(ハザード比1.43、95%信頼区間1.04〜1.97)。著者の結論は、補充でプラセボより骨折が少なくなることはなく、数の上では補充した群のほうが多かった、というものです(Snyder PJ, et al., N Engl J Med, 2024)[14]。骨密度が増えることと、骨折が減ることは別の話として読む必要があります。

血糖について、手引きは、メタ解析をもとに「2型糖尿病患者の血糖コントロールに有効である」とまとめています[1]。日本のEARTH試験のうち、メタボリックシンドロームのある65名を調べた解析でも、注射剤を12か月使った群で、腹囲・体脂肪率・空腹時血糖・中性脂肪・HbA1cの変化に対照群との差がありました(Shigehara K, et al., Andrologia, 2018)[15]。

一方、手引きより後に発表された解析では、糖尿病予備群の1,175名で、糖尿病に進んだ人の割合に補充とプラセボで有意な差はなく(24か月で10.1%と14.6%)、糖尿病のある3,880名でも血糖とHbA1cの変化は同じ程度でした。著者は、テストステロンの補充だけを糖尿病の予防や治療の手段として使うべきではない、と結論しています(Bhasin S, et al., JAMA Intern Med, 2024)[16]。

試験の限界

  • 薬の剤形:ここで挙げた米国の大きな試験は、国内では承認されていないゲル剤を使っています。国内で使う注射剤の結果と同じになるとは限りません
  • 対象者:65歳以上の男性や、心臓・血管の病気があるかリスクが高い45〜80歳の男性が中心で、日本人の試験は少数です
  • 期間:効果を調べた試験の多くは1年までです。手引きも、より大きく長い研究と、薬の種類ごとの研究が要るとしています[1]

リスクと副作用

多血症(血液が濃くなること)

エビデンス:強プラセボ対照RCTのメタ解析で相対リスクが高い。注射剤の用量と関連する試験もある参照: Ponce OJ, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018、Coviello AD, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2008

前述のメタ解析では、補充した群はプラセボ群に比べて、多血症になるリスクが8.14倍でした(95%信頼区間1.87〜35.40。1,579名)(Ponce OJ, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018)[5]。信頼区間は広いものの、下限でも1を超えています。

注射剤については、体内でつくられるテストステロンを薬で抑えたうえで、テストステロンエナント酸エステルを5段階の量で週1回、20週間注射した米国の試験(19〜35歳の男性61名と60〜75歳の男性60名)で、ヘモグロビンとヘマトクリットが量に応じて上がり、上がり方は高齢の男性のほうが大きいという結果でした(Coviello AD, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2008)[17]。国内の用法より多い量と頻度を含む試験です。英国の診療データベースの研究では、注射剤を使った男性の多血症は1,000人年あたり10.1件でした(Jick SS, Hagberg KW, Br J Clin Pharmacol, 2013)[18]。日本のEARTH試験でも、補充した群でヘモグロビンが有意に増えています[10]。

手引きは、治療中にヘモグロビンを定期的に測り、始めたばかりの時期はとくに注意し、多血症の懸念があれば減量や中止も検討するとしています[1]。

精子をつくる働きの抑制

エビデンス:中健康な男性が参加した避妊の試験30件の統合解析。LOH症候群の患者での回復を調べたものではない参照: Liu PY, et al., Lancet, 2006

体の外からテストステロンを入れると、精巣に指令を出すホルモン(ゴナドトロピン)が抑えられ、精子がつくられにくくなります。手引きは、テストステロンの補充で精子をつくる働きの障害が高い頻度で起こるとし、始める前に子どもを望むかどうかを確かめること、やめたあとの回復の見込みも含めて説明することを求めています[1]。注射剤の添付文書も、副作用に、とくに多い量を続けた場合の、精巣の萎縮や精子の減少などの精巣機能の抑制を挙げています[2]。

回復については、テストステロンなどを使った男性の避妊法の試験30件(健康な男性1,549名、18〜51歳)をまとめた解析があります。やめたあとに精子の濃度が1mLあたり2,000万まで戻った人の割合は、6か月以内で67%、12か月以内で90%、24か月以内で100%でした(Liu PY, et al., Lancet, 2006)[19]。避妊の試験に参加した健康な男性の結果で、年齢の高いLOH症候群の人や、長く続けた人にそのまま当てはまるとは限りません。

心臓と血管

エビデンス:強5,246名の非劣性RCTと、35試験のメタ解析で、心血管イベントの増加は示されていない。追跡は平均3年弱で、心房細動などは多かった参照: Lincoff AM, et al., N Engl J Med, 2023、Hudson J, et al., Lancet Healthy Longev, 2022

心血管の安全性を調べた米国の試験(TRAVERSE試験)は、45〜80歳で、心臓・血管の病気があるかそのリスクが高く、症状があり、空腹時のテストステロンが2回とも300ng/dL未満の男性5,246名を、テストステロンのゲルとプラセボのゲルに分けました。治療の期間は平均21.7か月、追跡は平均33.0か月です。心血管死・心筋梗塞・脳卒中を合わせた主要な評価項目は、補充した群で182名(7.0%)、プラセボ群で190名(7.3%)に起こり、ハザード比は0.96(95%信頼区間0.78〜1.17)でした。あらかじめ決めた基準で、プラセボに劣らないと判定されています。一方、心房細動、急性腎障害、肺塞栓症は、補充した群で多くみられました(Lincoff AM, et al., N Engl J Med, 2023)[20]。

この試験より前のRCTをまとめた解析(35試験、5,601名)では、参加者ごとのデータが得られた17試験で、心血管イベントは補充した群の7.5%、プラセボ群の7.2%に起こり、差がありませんでした。著者は、短期から中期のリスクを高める証拠はないが、長期の安全性のデータは乏しい、としています(Hudson J, et al., Lancet Healthy Longev, 2022)[21]。65歳以上の試験の一部(138名)では、1年間の補充で、冠動脈の石灰化していないプラークの体積の増え方がプラセボより大きいという結果もあります。画像の指標で、病気の発生を数えたものではありません(Budoff MJ, et al., JAMA, 2017)[22]。

国内の資料の書き方は慎重です。手引き(2022年)は、心血管系への影響について統一した見解はないとし、年齢や持病に応じて、とくに治療を始めてから1年以内は慎重に経過をみるよう求めています[1]。注射剤の添付文書は、心臓の病気や腎臓の病気がある人とその既往がある人では、ナトリウムや体液がたまって症状が悪くなるおそれがあるとしています[2]。

前立腺

エビデンス:中RCT 1件で前立腺がんの発生に差がなかったが、件数が少なく、PSAが高い人は除かれている参照: Bhasin S, et al., JAMA Netw Open, 2023

手引きは、テストステロンの補充で前立腺がんのリスクが増えるという明確な根拠はないとしたうえで、治療の前の十分な評価と、治療中の検査が重要だとしています[1]。

TRAVERSE試験の前立腺に関する解析(5,204名)では、悪性度の高い前立腺がんは、補充した群で5名(0.19%)、プラセボ群で3名(0.12%)でした(ハザード比1.62、95%信頼区間0.39〜6.77)。前立腺がん全体、急に尿が出なくなる症状、前立腺の手術などにも有意な差はありませんでした。PSAの値は、補充した群でより大きく上がっています(Bhasin S, et al., JAMA Netw Open, 2023)[23]。この試験は、PSAが3.0ng/mLを超える人と、排尿の症状が重い人を、はじめから除いています。件数が少なく信頼区間が広いので、「増えない」と言い切れる結果ではありません。

すでに前立腺がんがある人、疑いがある人には、テストステロンの補充は行えません。注射剤の添付文書は、高齢の男性では男性ホルモンで進む腫瘍が隠れている可能性があるとし、前立腺肥大のある人では肥大が進むおそれがあるとしています[2]。

睡眠時無呼吸

手引きは、テストステロンの補充で睡眠時無呼吸が悪くなることがあるとし、始める前だけでなく、治療中にヘモグロビンが上がってきた場合にもとくに注意するよう求めています[1]。第1類医薬品の軟膏の添付文書は、睡眠時無呼吸症候群の人は使わないこととしています[3]。大きないびきや、寝ているあいだに呼吸が止まると指摘されたことがある人は、受診のときに伝えてください。

そのほかの副作用

  • 皮膚:手引きは、にきび・脂っぽい肌・注射した場所の腫れや痛みを挙げています。添付文書の副作用にも、注射した場所の痛み・しこり、脱毛、皮膚の色の変化があります[1][2]
  • 肝臓:注射剤の添付文書は、肝機能の検査値の異常を副作用に挙げています(頻度不明)。手引きは、筋肉注射や皮膚からの投与による肝機能障害は非常にまれとされている、と書いています[1][2]
  • 乳房:手引きによると、正常な値を目標にした補充で乳房がふくらむこと(女性化乳房)はまれで、中止すると通常は改善します[1]
  • 塗り薬:軟膏の添付文書は、発疹・かゆみ・かぶれ・にきびなどの皮膚の症状と、血圧の上昇を挙げています[3]

行えない場合と注意が要る場合

行えない場合

  • 前立腺がんや男性の乳がんなど、男性ホルモンで進むがんがある人。手引きは禁忌とし、注射剤の添付文書も、こうしたがんとその疑いのある人を禁忌としています[1][2]
  • PSAが4.0ng/mL以上の人、前立腺がんを疑う所見がある人は、専門医に相談し、前立腺がんの可能性が否定された場合に限って治療を考える、とされています[1]

注意が要る場合

  • うっ血性心不全、多血症、前立腺肥大症、がんの骨転移がある人。手引きは、補充で症状が悪くなることがあるとしています[1]
  • PSAが2.0ng/mL以上4.0ng/mL未満の人。手引きは、慎重に検討したうえで治療を考えるとしています[1]
  • 抗凝血薬(ワルファリンなど)を飲んでいる人。抗凝血薬の作用が強まることがあります[1][2]
  • 子どもを望む人。精子をつくる働きの抑制のとおりです
  • 睡眠時無呼吸症候群の人、重い心臓病・腎臓病・肝臓病・高血圧がある人。軟膏の添付文書は、前者を「使用しない」、後者を「使用前に医師または薬剤師に相談する」としています[3]

参考として、米国内分泌学会の診療ガイドライン(2018年)は、次の人には補充を始めないよう勧めています。近いうちに子どもを望む人、乳がん・前立腺がんのある人、ヘマトクリットが高い人、治療していない重い閉塞性睡眠時無呼吸のある人、排尿の症状が重い人、コントロールされていない心不全のある人、過去6か月以内に心筋梗塞や脳卒中を起こした人、血栓ができやすい体質の人などです(Bhasin S, et al., J Clin Endocrinol Metab, 2018)[24]。日本の手引きとは基準の数値や書き方が違うので、国内での判断は手引きと添付文書によります。

治療の前と治療中の検査

手引きと添付文書に書かれている検査を、時期ごとに並べます[1][2]。

検査 時期 目的
総テストステロン・遊離テストステロン、LH・FSH 診断のとき(採血は午前8〜11時が望ましい) 診断と、原因の場所の確認
PSA(前立腺の検査) 治療の前。注射剤の添付文書は、治療中も定期的な前立腺の検査を求めている 前立腺がんの見落としを防ぐ
ヘモグロビンなどの血液検査 治療中に定期的に。始めたばかりの時期はとくに注意する 多血症の確認
血液中のテストステロン 注射の4〜7日後に遊離テストステロンを一度。その後も治療中に測る 補う量が適切かどうかの確認
症状と副作用の評価 3か月ごと。治療開始後3か月・6か月・12か月と、その後は少なくとも年1回 続けるかどうかの判断

手引き自体は、ヘマトクリットの数値の基準を定めていません。欧米のガイドラインの例として、米国内分泌学会はヘマトクリットが48%を超える場合、欧州泌尿器科学会と英国性機能学会は54%を超える場合に、補充を行わないよう提案している、と紹介しています[1]。米国内分泌学会のガイドラインは、治療中のテストステロンの値を正常範囲の中ほどにすることを目指し、治療を始めてから1年のあいだに、症状、血液中のテストステロン、ヘマトクリット、前立腺がんのリスクを評価するとしています[24]。

肝機能・脂質・血糖・骨密度をどの間隔で調べるかは、手引きに決まった記載がありません。持病や年齢に応じて医師が決めます。

続ける期間とやめる判断

手引きは、治療を始めたあと3か月ごとに効果を判定し、副作用に注意しながら、続けるかどうかを判断するとしています。症状がよくなるまでの期間は臓器ごとに違うとされ、性機能の症状については、治療開始後3か月以内に改善がみられると書かれています[1]。

治療が長い期間にわたることを前提に、手引きは、続けるかやめるかを本人と医師の共通の理解のもとで決めるよう求めています。欧米のガイドラインについては、十分な治療を行っても症状の改善がない場合は補充を中止すべきだという合意がある、と紹介しています[1]。「一度始めたら一生続ける」と決まっている治療ではありません。

手引きは、補充を行う場合でも、糖尿病や高血圧などの持病の管理と生活習慣の改善が必要になるとしています[1]。

保険の扱いと費用

資料から言えるのは、次の範囲です。

  • 手引きは、「LOH症候群はICD-11には収載されておらず、本邦でも保険収載されていない」と書いています[1]
  • 第1類医薬品の軟膏とhCGの注射について、手引きは、保険のきかない治療(自由診療)になると明記しています[1]
  • 注射剤は医療用の医薬品で、添付文書の効能は「男子性腺機能不全(類宦官症)」などです[2]。LOH症候群の治療として保険で受けられるかどうかは、手引きにも添付文書にも書かれていません

このため、保険が使えるかどうかと費用は、この記事では示せません。診察・検査・薬を合わせた費用と、保険の扱いは、受診する医療機関で確かめてください。

相談先

手引きに、受診する科を指定する記載はありません。手引きを作ったのは日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会で、本文には泌尿器科の男性更年期外来での調査が引かれています[1]。相談先としては、泌尿器科や、男性更年期(メンズヘルス)の外来がある医療機関が候補になります。

糖尿病や心臓の病気などで通院している人は、主治医にも相談してください。飲んでいる薬と持病を伝えることが、行えない場合と注意が要る場合の確認につながります。朝の勃起が減ったことが気になっている人は、朝の勃起が減る原因の記事も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 血液検査の値が基準より高くても、補充を受けられますか?

手引きは、総テストステロンと遊離テストステロンの値を、治療の対象を決めるうえでの必須項目とはしていません。ただし、値が基準以上の人だけを対象に安全性と有効性を示した報告はなく、根拠は不十分であるとも書いています[1]。症状の原因がほかにないかを含めて、医師が判断します。

Q2. EDが主な悩みです。補充とED治療薬のどちらが先ですか?

手引きは、EDには飲み薬のED治療薬を第一選択としています。テストステロンの補充は、飲み薬で効果が十分でないときに併用を考える位置づけです[1]。メタ解析の著者も、軽いEDでは補充だけでも妥当だが、重いEDではED治療薬などを加えるほうが適切かもしれない、と書いています[6]。

Q3. いつまで続けますか?

決まった期間はありません。手引きは、3か月ごとに効果と副作用を確かめ、続けるかどうかを本人と医師で判断するとしています[1]。詳しくは続ける期間とやめる判断を見てください。

Q4. 補充をやめると、精子をつくる働きは戻りますか?

健康な男性が参加した避妊の試験をまとめた解析では、やめてから12か月以内に90%、24か月以内に100%の人で、精子の濃度が1mLあたり2,000万まで戻りました[19]。LOH症候群の人で同じように戻るかは、この解析からは分かりません。子どもを望む場合は、始める前に医師に伝えてください。

Q5. 筋肉を増やす目的で使えますか?

手引きの対象は、LOH症候群の症状や徴候がある40歳以上の男性です[1]。注射剤の添付文書の効能も、男子性腺機能不全などの病気に限られています[2]。病気の治療以外の目的で使う薬ではありません。個人輸入の製剤を自分の判断で使うことは、多血症や精子への影響を検査で確かめる機会がないまま使うことになります。

Q6. サプリメントは、補充の代わりになりますか?

サプリメントは食品で、LOH症候群の治療を目的に承認された医薬品ではありません。症状が続くときは、医療機関で血液検査を受けてください。海外から取り寄せる製品には、健康食品の名目でも医薬品の成分が入っているものがあり、厚生労働省は健康被害が起こりうるとして注意を促しています[4]。

まとめ

テストステロン補充療法は、LOH症候群の症状や徴候がある40歳以上の男性に、症状と血液検査の結果をもとに、利益とリスクを説明したうえで行う治療です。国内で使えるテストステロンの薬は、注射剤と第1類医薬品の軟膏です。試験で一貫している効果は性機能の小〜中程度の改善で、活力・認知機能・血糖・骨折では利益が示されていないか、結果が分かれています。多血症と精子をつくる働きの抑制は、治療の前と治療中に確かめる必要があるリスクです。前立腺がんや男性の乳がんがある人には行えません。治療の前にPSAを測り、治療中は定期的に採血し、3か月ごとに続けるかどうかを見直します。

補充ができない場合や望まない場合の選択肢(漢方薬など)と、症状の質問票は、性の健康のページの「男性ホルモンの低下」の欄にまとめています。

改訂履歴

2026年10月4日:診療の手引き(2022年版)・添付文書・論文の抄録と照合して、全面的に書き直しました。出典を確かめられなかった記述を削除しています。削除したのは、除脂肪体重と体脂肪量の変化の数字(「+1.5〜3.0kg」など)、「意欲・活力は多くの患者で改善が報告される」、「空間認識能力の改善」、ヘマトクリットが54%を超えたら減量や中止が必要という手引きにない基準、「3〜6か月後」「6〜12か月ごと」とした検査の一覧、「効果を保つには長く続ける必要があり、やめると元に戻る」という説明、「筋トレとの併用で効果が最大化される」、サプリメントの成分についての記述です。活力と認知機能については、利益が示されなかった試験の結果に置き換えました。心血管の試験は、心房細動・急性腎障害・肺塞栓症が補充した群で多かったことを書き足しました。

同じ日に、次の誤りも直しています。診断の基準は、2007年版の手引きの値(遊離テストステロン8.5pg/mL未満)を載せていたため、2022年版の基準に改めました。「日本では2022年にテストステロンゲルが承認されました」という記述は誤りでした。挙げていた製品は、以前から販売されている第1類医薬品の軟膏です。出典のない費用の数字も削除しました。

参考文献

  1. 日本泌尿器科学会・日本メンズヘルス医学会 LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き作成委員会 編「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」医学図書出版、2022年12月10日 第1版. 日本泌尿器科学会のサイトに掲載のPDF(2026年10月4日確認)
  2. エナルモンデポー筋注125mg・250mg(テストステロンエナント酸エステル)添付文書(あすか製薬、2020年10月改訂 第1版). KEGG MEDICUS(JAPIC)(2026年10月4日確認)
  3. テストステロン軟膏(第1類医薬品。100g中テストステロン1g)添付文書(大東製薬工業。掲載ページに改訂年月の表示なし). KEGG MEDICUS(JAPIC)(2026年10月4日確認)
  4. 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」. 厚生労働省のページ(2026年10月4日確認)
  5. Ponce OJ, Spencer-Bonilla G, Alvarez-Villalobos N, et al. The efficacy and adverse events of testosterone replacement therapy in hypogonadal men: A systematic review and meta-analysis of randomized, placebo-controlled trials. J Clin Endocrinol Metab. 2018(オンライン先行公開、doi: 10.1210/jc.2018-00404。4試験・1,779名のメタ解析). PubMed: 29562341
  6. Corona G, Rastrelli G, Morgentaler A, Sforza A, Mannucci E, Maggi M. Meta-analysis of Results of Testosterone Therapy on Sexual Function Based on International Index of Erectile Function Scores. Eur Urol. 2017;72(6):1000-1011(RCT 14件、2,298名のメタ解析). PubMed: 28434676
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  23. Bhasin S, Travison TG, Pencina KM, et al. Prostate Safety Events During Testosterone Replacement Therapy in Men With Hypogonadism: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2023;6(12):e2348692(TRAVERSE試験の5,204名の解析). PubMed: 38150256
  24. Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. J Clin Endocrinol Metab. 2018;103(5):1715-1744(米国内分泌学会の診療ガイドライン). PubMed: 29562364

免責事項:本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。テストステロンの補充を行うかどうかと、その方法は、医師の診察と検査を受けて決めてください。試験の結果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるものではありません。

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